表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/168

26-1.取り込む(???視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(???視点)










 掴んだ。


 呪怨だった、忌々しい存在をこの手に。我が手に。


 虎に似た黒い瘴気の塊を、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の尾は手を伸ばして首根っこを掴み。少しずつ少しずつ、尾の中に取り込んでいく。


 (みのり)を消滅させようとした愚か者。


 ならば、この尾の力の糧となればいい。


 そのために、尾はこの阿鼻(あび)の地獄へと来たのだから。


 魂の形のまま、奴の背に乗り。少しずつ、少しずつ尾の方に取り込んでいく。


 耳にしたくない、嫌な大声が響くが今更なので気にしない。


 ゆっくりゆっくりと、呪怨だった瘴気の塊が尾の中に取り込まれていく。穫を傷つけてきた愚か者ではあったが、尾の役に立つのであればその部分は目を瞑る。


 穫を我が手にするのは、この八岐大蛇だ。


 彼女の幼き時に、約束をしたこちらが先だ。


 あの達川(たちかわ)の人間に囲われるなどと、許せない。



(取り込め……取り込め、この内に)



 そして、復活するのだ。


 この世に、この時代に、八岐大蛇が。


 あと少しで、呪怨の全てを取り込めそうだと思った時。


 光の矢が飛んできたので、尾は呪怨だったものから離れて避けた。避けた先にいた別の亡者が消滅したが、それはどうでもいい。



『あーあ? もう見つかっちゃったか?』



 忌々しい、天津神(あまつかみ)らか。


 こちらの復活まであと少しだと言うのに、勘の良い連中でしかない。


 だが、あと少しだったので、尾は食事のように呪怨だった塊を口のように魂を割って取り込んだ。



「く……ふふふ。あはははは!?」



 弱まっていた力が、力が。


 溢れていく、満ち溢れていく。


 魂に浸透していく感覚が心地よく、尾は歓喜に震えてしまう。


 黒炎に包まれた、炎の渦の中で尾の形態がまた整う。


 感覚としては人型に整ったが、もう二度と裂けるような真似をするわけにはいかない。


 いくら八岐大蛇でも、穫を妻として迎えに行くのだからきちんとした身なりでいなくては。


 とりあえず、あの神らからは懐かしい気配を感じたが、倒さなくては。穫を迎えにはいけない。



「くふふ……行くか?」



 尾は炎を蹴るかのように、空を蹴って飛んだ。

次回は水曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ