25-5.穫の力
お待たせ致しましたー
綺麗に整えた笑也の家のリビングに、笑也は書斎から持ってきた大きな布を畳んだものを端に寄せたローテーブルがあった場所に広げた。
「穫ちゃん、これの真ん中に座って?」
広げられた布には、紫色の線で複雑な模様が描かれていた。漢字だったり、英語だったり知らない言葉だったり。
何か意味があるだろうが、笑也の言う通りにスリッパを脱いでから布の上に足を乗せる。ツルツルとした感触が靴下越しに伝わってきてとても心地が良い。しかし、楽しんでいる場合ではないので穫は気持ちをしっかりとさせてから星と丸がいくつも描いてある部分に座った。
正座の方がいいから、正座にしたが。
笑也は気にせずに、穫の前に胡座で腰掛けると穫の額に右手を乗せた。
「目を閉じて」
「はい」
穫が目を閉じると、彼は何度か深呼吸をした。
「……示せ、示せ。この者の内を」
笑也が呪文を口にした途端、穫の額が熱くなってきた。笑也の手を通じて、何か力が働いているのかもしれない。
「我、達川の次代を担う者。この者の番になる者。この者の内なる力を示せ。我らの前に示せ」
少しだけヒリヒリしてきたのに加えて、体全体も熱くなってきた。
だが、これは必要な事なので穫は少しうめいたが耐えるように頑張った。
「万乗の欠片の欠片。十束所持者。この者の内なる力……如何程か」
そして、穫は感じた。
体から、湧き上がるように感じる何かが。
穫の体だけでなく、この部屋を突き抜けてしまいそうな何かが体から溢れ出るのを。
だが、目を開けていいとは言われていないので、開けるのも我慢した。
「……閉ざせ、閉ざせ。この者の内に戻れ」
笑也が静かに、呪文を口にすると。熱かった体の火照りがすぐに消え去ってしまい、危うくその場で倒れそうになったのが笑也に抱きとめられた。
目を開けると、笑也がヨシヨシと穫の髪を撫でてくれた。
「やっぱり凄いよ。穫ちゃんは僕以上の霊力の持ち主だ」
「…………役に立て、ますかね?」
「斎さん達も多分承諾してくれるだろうけど。僕も一緒に行くよ」
「ありがとうございます……」
何も出来ないまま、じっとしているのは嫌だから。
何かしら、出来るのであればそれがいい。
穫の力は、とにかく凄いのだと分かったが実感があまり持てなかった。今まで、そう言う知識などがなかったせいもあるので。
とりあえず、笑也から連絡してくれる事になったので、体が落ち着くまでソファに腰掛けていると。
笑也から、斎が承諾してくれたとすぐに知らせてくれた。
次回は日曜日〜




