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2-3.インスタントで宴①

お待たせ致しましたー

 とりあえず、まだ朝だと言うのに。今から買ってきたインスタント食品を大量に作るらしい。


 もう(たくみ)はいつのまにか着替えたのか、Tシャツとスラックスに黒エプロンと言う出立ち。素敵にカッコイイ男性料理人に見えてしまう。


 (みのり)も、エミ(笑也)がこれ着て、と渡された綺麗なグリーンのシンプルな色のエプロンを着た。



「まず、カップ麺系……あの二人まで揃ってんなら、油そば風やろ?」

「油そば……風?」

「お? 穫ちゃん食ったことないん?」

「えっと……実家の食堂でも作ってないので。学食でも見たことないです」

「ほな、今度笑也(えみや)と一緒に連れてったるわ。ぱっと見は焼きそばっぽいんやけど、汁なしのラーメンで油ギトギトやねん」

「汁なし坦々麺とかですか?」

「辛くはないなあ? 豚骨系が多いんや」



 とにかく作ろうと言われて、業務用のような電気ポットでお湯を沸かしている間に。電子レンジでは四種のチーズピザを焼き、もう一つあるレンジでレトルトのご飯を温める。


 穫には昨日のようにカレーを任せたと言われたので、常温に置いてあったお高そうな卵を選んでぐらぐらに沸かしたお湯の中に沈めてタイマーを使わせてもらう。


 タイマーだけで、十個もあったのは驚きだが。



「これでよしっと」

「お? ゆで卵とちゃうなあ?」

「温泉卵です。チーズはお好きなの、お聞きしたんですが。多分嫌いではないかなあ、と」

「むっちゃ好きやで? 須佐(すさ)が特に」

「須佐……様が?」

「エミに認められたんやから、様付け嫌がるで?」

「え?」

「呼んだか?」

「ぴゃ!?」



 何故来たかはわからないが、巧よりも背丈があり、体格も素晴らしくがっしりしている素戔嗚尊(すさのおのみこと)。髪は巧くらいに短く、もみあげとかも特にない。


 切長の目を、穫に向けてじーっと見てきたのだった。



「なんや、エミが待ちきれんのか?」

「それもあるが。姉者が認めた娘がどんな奴か。挨拶だけでは事足りん。もう一度見て起きたかった」

「わ、私……ですか?」

「エミ……天照大神(あまてらすおおみかみ)が単純に認めた、見鬼(けんき)を持つ娘。まだ少ししか聞いていないが、結界師の流れを汲む傍流の家系か。そこに、封じた呪怨。我らを呼ぶとは、余程気に入ったと言う理由……まあ、今の調理で少しわかった」

「はひ?」

「インスタントとは言え、心が籠っている。それがわかった」



 とだけ言って、穫の頭を軽くわしゃわしゃしてからリビングに戻ってしまった。


 どう言う意味だろうと、巧を見てもニコニコされるだけだった。



「あいつ、むっちゃ面倒い性格やねん? それがちょい穫ちゃんを見ただけで認めるって、そうそうないで?」

「そう言うもの……ですか?」

「そう言うもんや。あ、卵とカレー見とくから。ピザよろしゅう」

「あ、はーい!」



 焼けたピザに切り込みはあったが、チーズで見えにくかったので熱くても上からもう一度切り分けて。大皿に移してからリビングに戻ったら。



「あ、みのりん。ピザー?」

「ありがとうございます」

「……ん」



 どこから取り出したのか、既に酒盛りが始まっていたのだった。



「あ、あの。お酒……?」

「みのりん飲めるー?」

「え、まだ二十歳じゃないので」

「じゃ、ジュースかあ? 作り終わったら飲も飲も!!」

「え、会議……は?」

「もうだいたい終わった!! 除霊云々も月詠(つくよみ)メインでバンバン弾いているからー?」

「……え?」

「姉上、説明を省き過ぎです。……弱い悪霊程度なら、私の神気であの世へと送っています。呪怨の対策もほぼ終わりました。あとは最高神である我らが酒盛りをすれば、下々の神々も自ずと働くわけです。ご理解ください」

「……は、い?」



 とりあえず、会議よりももてなす重視でいけばいいのか。


 と思って、穫はキッチンに戻ってカレーの続きを作ることにしたのだった。

次回はまた明日〜

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