24-2.不安の不安(笑也視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(笑也視点)
まったく、幼馴染みでもあり悪友でもあり。実家に古くから仕えてくれているとは言え、一応の常識人だった巧がここまで形なしだったとは思わなかった。
「……巧?」
「…………おん」
笑也が多少なりとも怒気を露にしているせいか、昔のように縮こまった様子で巧は笑也の部屋で正座をしていた。
と言うよりも、笑也がさせたのだが。
「……勢いでキスしたくなったのは、僕も男だからわかるけど」
「! せやろ!?」
「だからって、穫ちゃんの部屋ではダメだね!!」
「……やからって、可愛いかったんやで?」
「なら、せめて自分の部屋に場所移すくらいの節度は持ってよ」
「〜〜〜〜……無理言わんで」
「……まあ、君の性格知ってる僕もそれは無理だって思っているけど」
しかし、実際にはもう起きてしまった後だ。なかった事には出来ない。
なので、一応反省させるしか出来ないのだ。
もう一度、穫の部屋でなくせめて自分のテリトリーでするか外にしろと言いつけた笑也は、巧に反省させている間に穫にLIMEで連絡をした。
返事はすぐ来たので佐和の方もどうやら落ち着いたらしい。
独特の雰囲気と術のキレの良さで、達川や万乗に匹敵するかそれ以上の術師だと前々から頼りにはしていたが。
やはり、男っぽくしてはいても根っこの部分は女だ。だから、巧もそのギャップに惚れたのかもしれない。
(……こっちは無事解決出来そうだけど。エミ達が今どう動いているのかわかんないなあ?)
恋愛事については、笑也もだが巧もひと段落つきそうではあった。
だが、まだ。
穫をつけ狙っていた呪怨が終わったのに、次は八岐大蛇の尾。本体とは別の意思を持ち、穫もだが咲夜こと十束剣をも狙っていた事実がまだくすぶっている。
エミや須佐達が一度消滅させたかもしれないとは言っていたが。実はまだ何かあるとも言っていたのだ。それを、彼女達だけに任せていいのか正直わからない。
たしかに、呪怨とは違い、神に通じる化け物と対峙するのだ。あやかしとは違い、笑也がエミを降ろしても太刀打ち出来るのかは怪しい。
だからこそ、彼女達に任せて笑也は穫を護る役目を担う。
それが順当なのに、笑也は未だ悔しいのだ。
達川の次期当主とは言っても、術師としては弱い自分に。
あともうひとつ気になる事がある。
何故今になって、穫を狙う事になったのか。
呪怨が片付くのを待っていたとしても、穫を狙う理由が咲夜を覚醒させたのをきっかけにしたのなら。
一度、咲夜とも話そう。
かつての万乗の人間を失いたくがないために、その人間に宿る以外。何か、八岐大蛇に気に入られる事があったかもしれない。
それと、穫にも他にきっかけがあったとしたら。エミ達にも有力な情報を与える事が出来る。佐和も呼んで、巧とも交えて四人で話す事に決めたのだった。
次回は木曜日〜




