22-4.里芋でクリームコロッケ②
お待たせ致しましたー
大広間はその名の通り、広過ぎる広間だった。
五人どころか、十人も余裕なくらいに。けれど、穫達しかいないので贅沢に座らせてもらうことになったが。中央に大きめのテーブルがあったので、そこで食卓を囲むことに。
エミだけは胡座を掻いて座るが、他の誰も気にはしていない。やはり、そこはエミが人間ではなく神様だからか。
ただ、食べるタイミングはエミも同じにしてくれるのか、うずうずしながら待っていてくれた。
「じゃあ、せっかくの揚げたてをいただきましょう?」
珠緒が号令をかけてくれてから、全員でいただきますをした途端、エミは真っ先にクリームコロッケにかぶりついた。
【う……まぁ!? 美味しい〜〜!! みのりん、ちゃんとクリームコロッケよん!!?】
「お口に合ったのなら良かったです」
「うん。美味しい」
「美味しいよ!」
「ええ」
「本当に!」
他の皆の口にも合ったようだ。ひとり俵型で四個ずつだが、エミはあっという間に食べ終えてしまうくらい。
隣にいる笑也も美味しいと箸をすすめてくれていた。その父親である明良もぱくぱくと食べてくれている。
「乳製品はほとんど使っていないのに、ちゃんとクリームコロッケだよ!? 里芋のねっとり感ももちろんだけど、ひじきととうもろこしの相性がこんなにもいいだなんて思わなかった!!」
「あ、ありがとうございます!」
そこまで褒められるとは思わなかったが、このクリームコロッケは穫の母の思い出の味だった。普通のクリームコロッケを作るのが大変だったのと、いただきもので里芋が大量に合ったために、ネットを参考にしながら作ったそうだ。
以来、穫には母親の味である。高校生になってから作り方を教わったほどだ。
「本当に。坊ちゃんの婚約者様は素晴らしいお料理の腕前をお持ちですわ!」
イネも年の割には揚げ物は食べられるようで、ぱくぱくと食べていた。相変わらず、穫を笑也の婚約者とは言っているが。
「いいわね? 大神と笑也は毎日のように、こんなにも美味しいご飯を食べれているのでしょう?」
【インスタントのアレンジも美味しいわよん?】
「あら、そうなんですの?」
【あたしが気に入っているのは、冷凍餃子でチーズタッカルビ風にしてくれたやつだわん?】
「また作りますね?」
「穫さん、簡単ですか?」
「はい、そこまで難しくはありません」
などと、女性メインで話に華が咲いてしまい。笑也と明良は食べ終えてから端に追いやられる形になって、穫達が帰るまで意気投合してしまったのだ。
本当は夕飯を食べるまで一緒にいて欲しかったようだが、自宅に戻る時間もあるので夕方前にまたイネのお菓子をいただいてから達川の屋敷を出ることになった。
「大学を出てもすぐにお嫁に来ていいわよ?」
「母さん……」
意気投合したことで、より一層珠緒には気に入られたのだった。
次回は木曜日〜




