20-1.待つ(???視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(???視点)
ああ、ああ。
油断した。
せっかく吸収した力の半分だけでなく。もともと蓄えていた力までも失ってしまった。
あの素戔嗚尊によって。
力を吸収し過ぎて、膨れ上がって、破裂しそうだった。あんなにも気持ちよかったのに、呑まれそうになったのだ。
自業自得とは言え、このままでは穫どころか金剛刀も手に入らない。
どうすれば、どうすれば。
ああ、ああ。負の力が足りない。
(……く、そ。素戔嗚尊め……!)
この八岐大蛇の尾でも、二度も倒すとは。時は経てど、相変わらず機転が効くと言うべきか。
だが、まだ詰めが甘い。
核である八岐大蛇の尾の意識まで切り刻んでいないのだから。
けど、このままでは。本体にたどり着いたところで取り込められない。
意識の欠片の欠片だった尾では、弾き返されてしまうだろう。
なら、逆にこの地獄で意識を浸透させなくてはならないか。
(……少しくらい、遅くなっても……いい、か?)
あの男のイタコが隣に立つのはムカつくが、今は待つしかない。
地獄の力を少しずつ吸収して、仮の身体を再生させないと。
穫を迎えに行けないのだから。
「……待ってて、穫」
相応しい相手が誰かだなんて、すぐにわからせてあげるから。
尾の身体はまた光の球の状態になり、地の底で眠りにつくのだった。
次回は水曜日〜




