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アンリとアンヌのバラード  作者: ぱとす
3/20

アンヌの最初の物語


挿絵(By みてみん)



あたしはアンヌ・アンデルセン。スラムの街に住んでいた。

真珠色の運河、素足の子供、ドラム缶ドラム……………


一昨日ママンが死んだ……………最初で最後のママンの休息。


小さな窓から手向けの花を一輪落とす。ママと同じ野に咲く名前のない花。

干された洗濯物の舞う風に乗って貧しい路地に花びらが散る。


崩れた煉瓦に灰色の漆喰

朽ちかけた黒塀と灰色の空

渦を巻く雲が光さえも灰色に変える

踏み潰された空き缶

ツバメですら巣を作らない

カラスでさえも餌を求めない


誰もいない空虚なベッドだけが置かれた部屋


パパはまだ知らない。

パパはランブリング・ギャンブリンマン(流れの賭博師)。

電柱を流れる電気みたいに流れ流れて。

そして今はK市の刑務所で看守や囚人相手にカードを切っているはず。

部屋にある唯一の写真はママンが大切にしていたパパのもの。

パパは片眼鏡をかけて形の良い髭をたくわえ、帽子を斜にかぶってにこりとも微笑んでくれない。

お友達はサイコロとカード、そしてお酒と煙草。


挿絵(By みてみん)


泣くのはきらいだ。


粗末な男の子のような服を着て、唯一の財産であるお気に入りのマフラーを巻いて。

いつものようにマッチを入れたバッグを持って階段を降りる。

街でマッチを売るために。



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