第14話
レオさんといられる日々がとても幸せと思えるようになった。
レオさんの屋敷は森の中にひっそりと立っている一階建てのお屋敷。
客間が3つ、お風呂とトイレは別にキッチンで食事をするのであまり使わない食堂まであり。
書庫、レオさんの寝室に大きな庭があった。
「昔、ここの管理をしていた貴族が使っていた、別荘を買って綺麗にして使ってるんだ」
私はその中のベッドにクローゼット、机の置いてある客間を借りています。
今日はお洗濯物を終えた後、お風呂場のお掃除をして廊下を掃いてからのモップがけ、午後は畑に草むしりをすると今日の予定を立てた。
朝仕事に行くレオさんに「午後に畑に行ってきます」と伝えてある。
レオさんの屋敷から出て南側は森の中に行く道。
畑に行くには屋敷から出て森とは逆の東寄りに歩いて行くとナヤキ村という村があり、その近くにレオさんは小さな畑を持っていた。
じゃがいもに白菜にほうれん草に大根などを季節ごとに、野菜の苗を植えると聞いている。
草むしりなら村にいた頃にお手伝いをしていたから私にも出来る。
レオさんに私もお手伝いしたいと伝えると「じゃあ、一緒にやろう」と言ってくれた。
「行ってくるよ、ティーさんお弁当ありがとう」
「レオさん気を付けて行ってらっしゃい、レオさんの好きなハンバーグとほうれん草の胡麻和えを入れました」
「おお、それはお昼が楽しみだ」
畑に行くと聞いたレオさんは仕事に行く前「寒くなってきたから、首元とか足元を温かくしていくんだよ、俺は仕事を早く終わらせて手伝いに行くね」と仕事に向かった。
レオさんの仕事が終わり次第合流になるのかな?
朝干した洗濯物は取り込み畳んでしまった。お昼の片付けも済ませた「さてと、行きますか」畑仕事着に着替えて、軍手と鎌を持って畑に向かった。
屋敷を出てすぐの道を東に歩いて行く、近くにナヤキ村が見えて来て、村を通り抜けもう少し歩くと沢山の畑が見えてくる。
その中の1つ大きな栗の木が立つ畑がレオさんの畑。
そのお隣の畑ではおばちゃんが作業をしていた。
レオさんの畑に何度か来ていて、おばちゃんとは顔見知りだ。
「こんにちは、おばちゃん草むしりご苦労様です」
「あらっ、レオさんの所のティーちゃん、こんにちは今日は草むしりするのかい?」
「はい、そうなんです。今度来た時にほうれん草の種を蒔こうと思うの」
「あら、ほうれん草?いいわね」
この前来た時にレオさんと植えた、ジャガイモは芽を出したばかり、お隣に植えたサツマイモも同じだ。
ほうれん草は寒さに強いから、寒くなってくる季節…秋…いまが丁度良い。
それにレオさんの大好物。
ほうれん草のソテーやほうれん草のおひたし、胡麻和えグラタンに入れるのも美味しい。レオさんにたくさん食べてもらおうと、ほうれん草の種を蒔くことにした。
「ふーっ、じゃあ、私は先に失礼するわね」
「はーい、お疲れ様です」
畑仕事を終え村に帰って行くおばちゃんを見送り、私は草むしりに取り掛かった。
ほうれん草の種を植えるための草むしり。
ジャガイモやサツマイモの周りの草むしりを黙々と始めた。
畑の中を中腰で黙々と草むしりを始めてから、一時間くらい立ったかな?
「ううっ…熱中しすぎて腰が痛い」
腰をトントンと叩きながら立つ、少し休憩を取ろうと石の上に座っていたらこちらに来る影が見えた。
「ティーさん、お疲れ様」
「あ、レオさんお疲れ様です」
仕事が終わって直ぐに来てくれたのかな?
レオさんは来て畑を見回すと驚いた表情を浮かべた、畑に出来た草むしりの山を見ていた。
「ティーさん、草むしり頑張ったね」
「はい、頑張りました」
レオさんが仕事を終えここにくる頃には、畑の草むしりを終えていた。
次に来た時には畑をおこして、種まきが出来るだろう。
「お疲れ様」
「でも頑張り過ぎてね、腰が痛くなっちゃった」
そい言うとレオさんは手に持っている、紙袋を見せてくれた。
「ティーさんがそうだろうと思って、晩御飯にパンを買って来たよ今日はこのくらいで帰ろうか」
「はい」
レオさんは私の手を持って立たせてくれた。
「帰ったらティーさんはゆっくりしてね。お風呂を沸かすのは俺がやるから、後コーヒーも俺が入れるね」
微笑んで言ってくれるけど…
レオさんだって依頼された薬草の収穫で疲れているはずなのに…でも、にこにこ顔のレオさんには言えないな。
「ありがとうございます、甘えさせてもらいますね」
「ああ、どんどん甘えねて」
畑からの帰り道レオさんは私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる。
レオさんはいつだって優しいな。