第13話
日も暮れて夕方、私はキッチンで夕飯の準備中。
ジュージューとフライパンの中で鶏肉がこんがり焼けるなか、私はキッチンで声を出していた。
「レオさんブラッシングをさせてください!」
冬毛になってきてもふもふになった、レオさんのたてがみに触れたいブラッシングしたい出来れば尻尾にも触りたいな。
良し、もう一度練習しよう。
「レオさんのそのたてがみをブラッシングをさせてください!!」
仕事から帰って来て私がお願いをするとレオさんは…なんて言うかな?いい?ダメ?
「ブラッシングをしたいの?…いいよ」
と言ってくれたりして…?
んんっ、あれ?
「ふふっ、ティーさん」
突如聞こえた笑い声に振り向くと、キッチンの入り口に寄りかかった仕事帰り、オーバーオール仕事着を着た半獣姿のレオさんがいた。
いまのをレオさんに聞かれた!!
「ただいま、ティーさん」
「レオさんおかえりなさい…あの、玄関までお迎えに出れなくてごめんなさい」
やってしまった…調理とブラッシングをの事で頭がいっぱいで仕事から帰りの、レオさんを迎えに出れなかった。
「すみません、レオさん」
「いいよ、ティーさん」
レオさんは怒るどころかキッチンに入って来て、調理中の私の手元を覗き込んだ。
「ティーさん今日のご飯は何?まだ、だったら俺も手伝うけど?」
「大丈夫、レオさんもうすぐ出来ます。今日は照り焼きチキンにサラダとパンにコンソメスープです」
どれどれとレオさんがフライパンのフタを開けると、フライパンの中でタレを絡めた照り焼きチキンのいい香りがしてきた。
「んーっ、美味そうだな早く食べたい、じゃあ俺は着替えてくるよ」
「はい」
レオさんは出ようとして、手前で足を止め振り向いた。
「そうだティーさん。明日の休みの日にブラッシングをお願いするね」
そらだけ言うとレオさんはキッチンを出て、部屋に着替えに向かっていった。
呆然としてレオさんを見送ったけど、次第に私の口元や顔がにやけてきた。
「レオさんにブラッシングをいいって言われた…嬉しいな、明日は楽しみ!」
私は張り切り夕飯の仕上げを始め、出来上がった料理をデーブルに並べた。
部屋着に着替えて戻ってきたレオさんと食卓を囲んだ。
「ティーさんこの照り焼きチキン、俺の好きな味付けだ美味い」
レオさんの好きな味付け!
「嬉しいレオさん、たくさん食べてください」
「うん、ありがとう」
嬉しいな、照り焼きチキンを美味しって言ってもらえた。
レオさんとの夕食での会話が弾む
「ティーさん今日の仕事はね、仲間と洞窟で鉱石の採掘をしたんだけどさ」
「はい」
「また、そいつがね…慌てん坊さ」
今日の仕事の話をレオさんは楽しそうにいくつも語ってくれた。
私もレオさんのお仕事の話を聞くのが好きで、夢中に質問をしながら聞いた。
「ふう、お腹いっぱい美味かった…ティーさんご馳走さま」
「はい、ご馳走さまでした」
キッチンの流しに食べ終わったお皿を運び、後片付けを始めるとレオさんが私の隣に立つ。
「ティーさんのお手伝い、終わったら俺が紅茶も淹れるからね」
「レオさんいいのですか、お仕事でお疲れでしょう、座っていてください」
「いいのお手伝いしたいし、終わったら任せて美味しいのを淹れる!」
2人で並んで洗い物を終わらせて、私はエプロンを取りテーブルに座った。
レオさんが紅茶を入れるためにキッチンに立つ後ろ姿を眺めた。
私はキッチンに立つレオさんの後ろ姿を見るのが好きなの。
だってレオさんの尻尾をたくさん見れるんだもの、緩やかに揺れるレオさん尻尾。
「どうしたの?ティーさん見過ぎだよ」
「えっ!」
紅茶をテーブルに置きながら、レオさんに言われた。
「ごめんなさい、レオさんの揺れる尻尾を眺めるのが好きで…つい」
「そっか、じゃあ明日は俺が料理するから、好きなだけティーさんみていいよ」
尻尾でツンツンと私を腕を突っつき、優しく微笑んでレオさんは前に座った。
次の日はもちろんレオさんは沢山たてがみをブラッシングをさせてくれた。
ブラッシングをして抜けたレオさんの毛玉がもふもふで気持ちよくて触っていたら、レオさんに毛玉を取り上げられた。
「あっ、ダメ」
子供のように手を上げて毛玉取り返そうと来たけど、毛玉はゴミ箱の中に捨てられた。
「あーっ、気持ち良かったのに」
「ティーさんそれは俺の抜け毛だよ、俺が側に居るんだから俺を撫でて」
と、笑ってくれた遠慮なく、ブラッシング仕立てで、サラサラでもふもふなレオさんのたてがみを撫でた。
レオさんは目を瞑り
「ん、ティーさんそこ気持ちいい」
「ほんと、じゃあレオさんここは?」
「そこも好き」
レオさんはティーさんに触られると気持ちいいと、たてがみを沢山触らせてくれた。
それに朝昼晩とレオさんは料理も作ってくれた、私はテーブルにいながらレオさんの尻尾を思い存分に眺め満足した。
「また、ティーさんにブラッシングをお願いするね」
「はい、任せてくださいレオさん」