第12話
「おはようティーさん」
「おはようございます、レオさん」
朝食の時間。
私はキッチンで毎朝、朝食の準備をする。
料理はまだレオさんの様に、上手くないのだけど、レオさんは美味しいと言って食べてくれる。
いつも早めに起きてレオさんは、キッチンのテーブルにつき、私の料理をする姿を楽しそうに眺めている。
「うむ、今日は猫か…」
いまレオさん、猫って言ったわ。
やっぱりレオさんは見てる、私のワンピースのお尻のアップリケを…。
「昨日の熊やその前の犬よりはいいか」
恥ずかしい毎日、毎日、見てる。
まさかレオさん!
ライオンさんのアップリケを待っているの?
それはいま練習中なんですよとは言えない。
出来た朝食をテーブルに並べながら、レオさんに「ライオンさんのアップリケって、結構難しいんだよ」と、心の中で伝えた。
朝食が出来上がり向かい合って食べていると
「そうだ明日の休みに、ティーさんに俺の仕事の説明をしょう」
レオさんのお休みの日に、冒険者のお仕事について説明を受けた。
「屋敷から王都まで15分かけて歩き、ギルドで依頼を1日に1つか2つ受け。鼻を頼りに珍しい薬草の採取や、洞窟で鉱石の採掘を1人や、時には仲間と一緒に行なっているんだ」
「珍しい薬草の採取に鉱石の採掘?」
「そうだよ」
冒険者と聞いたから、レオさんは強いモンスターと戦うのだと思ったのだけど、森の管理者の仕事以外では戦わないライオンさんだった。
レオさんがギルドの仕事に出ている間は、他の俺の仲間が森を見張っていると、教えてもらった。
「そのレオさんのお仲間さんの休憩時間の時、屋敷に休みには来ないのですか?」
「そうだね、前までは勝手に屋敷に入って休んでたみたいだけど、人間のお手伝いさんを雇ったと言ったら、みんな驚いていたよ」
みんな、驚いていた…
「では、お仲間さんは屋敷には、来られないのですね」
レオさんのお仲間さんは人間を嫌いなのかな?
「ティーさん大丈夫だよ。この前に屋敷をこっそり覗いたら、可愛い子が俺の家を掃除をしていて驚いたんだって、声をかけようと思ったけど、恥ずかしくて声をかけれなかったと言ってたよ」
嘘、知らないうちに私は、レオさんのお仲間さんに見られてたんだ。
それも可愛いだなんて…おサボりは見られていない?
日の当たる床に座って日向ぼっことか、そのままそこで、お昼寝をする姿を見られたら恥ずかしいわ。
これからは気を付けないと。
家の中ではもふもふなライオンさんのレオさん。
外に出る時は「人を脅かさないように、半獣になるんだよ」と、もう一度、説明してくれた。
ギルドの仕事に森の管理者、働き者のレオさんは休みの日でもよく動く。
いつもより朝は遅く起きるけど、午後には近くの畑に草むしりや、家の掃除をしてる。
ティーさんは休んでてと私を休ませ、お掃除をやってしまう。
違う休みの日には寝室の机で、ギルドに出す、書類をまとめたりもしていた。
今日だって畑の草むしりに行ったり、お風呂のお掃除をやってくれ、お昼ご飯も作って貰った。
晩ご飯は私が作りますといい、今日の夕飯のメニューはレンコンバーグ、サラダにパンとスープ。
レオさんは美味しいと全部食べてくれた、食器の後片付けを終えると、レオさんは座っていたテーブルから立ち上がり。
「俺は書庫で調べ物があるから、ティーさんは先に上がって」
「はい、レオさんおやすみなさい」
「おやすみ、ティーさん」
部屋に帰り私は何時もの、アップリケの練習を始めた。
***
書庫での調べ物が終わり、ティーさんの部屋の前を通った。
「いたたっ…また、指に刺しちゃった。ライオンさんは難しいな、可愛くならない…」
ティーさんの部屋から声が聞こえた、俺はダメだと思いながらも、そーっと聞き耳をたてた。
「レオさんに上手く出来た、ライオンさんのアップリケを見てもらいたいのに、下手だな私」
ティーさんのすねた声を聞いた。
どうやら俺の為にライオンのアップリケの練習を、しているみたいだ。
それだけで俺は嬉しくなり尻尾が揺れる。
「あれ?もう無い…全部の下着をライオンさんのアップリケの練習で使っちゃった。ふふっ、何時も下着にはライオンさんのアップリケ付いてるよなんて、レオさんには言えない、増してスカートをめくって、見せるなんて出来ないものね」
俺は思わず笑いそうになり、手で口元を押さえた、なんて可愛い人なんだ。
そうかティーさんの下着には、ライオンのアップリケが付いているのか、ティーさんは下着を全部使ったと言っていた。
毎日ティーさんの下着には、ライオンさんのアップリケか。
別に俺は下手でもいいんだけどな。
でも、毎日か…ふふっ。
***
次の日のレオさんは何も言わずに、いつもの様に嬉しそうに、私の調理姿を見ている。
なんでだろう?
レオさんに今日は豚さんのアップリケの、更に奥を見られている様な気がした。