トロスパート決戦の横で
私はスナイパーライフルに麻酔弾を詰めた。弾を一発込めれば、その弾が無限に出るようになる。今回は殺してしまうと色々と厄介なことがあるので麻酔銃にしておいた。スコープの調子を確かめようと除いた時、爆発が起きた。目が眩んで倒れそうになったが持ち直した。怪盗トロスパートとか言う奴は爆発も使うのか。はっきり言ってスコープを外してしまうと見えないがやむなく外すことにした。見るとそこにはハリボテが3枚、博物館の近くの3階建てくらいの建物の上に立っている。
「怪盗トロスパート、今ここに舞い降りた。何度やっても無駄だということを思い知らせてやる。まあ、構ってもらえると盗む方も楽しいけどね。」
私はさっさとハリボテを撃って憂さ晴らしを使用した途端また、トロスパートが話し始めた。
「この中で偽物は2人。間違った方を選べば全員ボカンだ。さあ、本物を撃ってみろ。」
私は呆れた。なんだこの子供だましは、最悪だ。私はさっさとハリボテを破壊することにした。アレで慎重になっている警察を見ていると逆に悲しくなってくる。私は真ん中のハリボテを撃ち抜いた。その瞬間閃光と爆音が聞こえた。マジで爆発するんかい。そう言えば、トロスパートの方に意識が行き過ぎて気にしていなかったが、マンションの中には非常ベルが鳴り響いていて、避難をする人々の声が聞こえた。今は静まり返っている。私以外は皆避難したのかな。と、思ったがドアの開く音がした。私はドアの方向に銃を構えて自分の部屋の玄関を見た。そこには誰もいなかった。壁に耳を押し当てて耳をすませた。するとひ弱そうな笑い声が聞こえた。
「やったぞぉ、今日はいつもよりお客さんは来てくれるし、売るものも沢山手に入った。やっぱりこの土地が取れて最高だなぁ。」
そう言って狂わんばかりに大爆笑していた。私の部屋に入ってきたら麻酔銃をかましてやろうかと思ったその時、複数の銃声と断末魔の叫びが聞こえた。
「ヒャッハー!!!!お前に独り占めなんかさせねーよォ!だって俺達が全部頂くからなァ!」
ああ、もうダメだ。混乱に乗じて人々のどす黒い部分が滲み出るどころかドバドバ流れ出ている。
「次の部屋行こーぜぇ、大収穫祭はまだ終わらねーだろぉ?」
まずい。うちの部屋に来る。私はクローゼットの中に息を潜めた。すると玄関を激しく蹴る音が聞こえた。ミシッバキッと扉の軋む音がして、勢いよく壊れた。
「おうおう、荷物が沢山あるじゃねーかよぉ」
「これ、持ち物からして女の奴じゃね?」
「全部貰っとけ、売れば金になるんだしよ」
「そうね、もし持ってけたらね。」
そこに居た三人のゴロツキは揃ってキョトンとした。
「おい、どこに隠れてやがる。姿を現しやがれ。」
3人とも怒鳴りながら壁などを蹴り、部屋を徘徊している。私はクローゼットの隙間から丁度銃口が出るようにした。そして誰かが射程に入るのを待った。すると一人近づいてきた。
「さぁては、ここだn」
私は近距離で麻酔銃をかました。そいつが倒れ二人が気付く。
「おい、貴様誰だ!!」
「ぶっ殺してやる!!」
ふたりが同時にナイフをもち飛びかかってきた。避けたが2人の連撃はまだまだ続く。私は何か使えるものがないか思い出した。背中に何かが当たり振り向くと壁に設置してある棚だった。
「残念だったな、チェクメイトだ。」
その男達が切りかかろうとしたその時、私は棚に足をかけ、バック宙をした。男の斬撃は空振り、前のめりになったその姿勢の頭を踏みつける。男が二人とも倒れたところハンドガンを2丁取り出しうなじに撃った。私は着地し、一息ついた。おっと忘れてた。私は窓に寄って外を見た。見ると小型のジェットを付けた人物が飛んでいた。私は急いでマシンガンを取り出し撃った。その1発が当たったらしくよろめいた。そこに違う方向から麻酔弾が当たったらしく、トロスパートは落ちていった。やはり、休暇なのに全く休めなかった。私は座り込みバックから缶コーヒーを取り出し、少し飲み一息ついた。何か気配が近づいてくる気がしたので早く部屋を去ることにした。荷物をまとめ、部屋を出た。何か懐かしい気配がスグそこまで来ていることに気づいた。するとその角から赤いショートヘアーに猫耳を生やした女性が出てきた。
「サツ!?」
「姉貴?」
「やっと会えた…。元気だった?」
「ああ、元気だけど…」
またしても不味いことになった。ヘタをすれば刑務所行きだ。
「なら、一緒に来ましょう。キョウを探して、また3人で過」
私は姉貴にとても申し訳ないと思ったが、額の真ん中を突いた。
「ごめん、姉貴。今の私には無理。」
私はこのまま一緒にいようと思ったが本当に無理なのだ。私は駆け出した。まあ、よくよく考えると姉貴は世界的有名人だし、世界中心機関にも関係者だといえば会わせてくれないこともない。そう思うと心が楽になった。その時、大柄の男の人にぶつかった。
「すいません、大丈夫ですか?」
その大男は2人組で3メートル程もある。私を黙って凝視している。
「どうかされましたか?」
少しの沈黙のあと、大男の1人が口を開いた。
「トロスパートの作戦妨害の1人であることを確認。」
その瞬間目に止まらぬ速さで私の首を掴んだ。息ができない。物凄い力だ。気が…遠の…く……。




