死神人間
「ご苦労でした、御二方。私も少しあなた達を小馬鹿にしたような依頼をしてしまいましたね。殺し屋に殺さずに連れてこいだなんて。」
「いえ、どっちみちあなたがゆっくりと殺すのでしょう。」
「ええ、その通り。今奴は拷問部屋に監禁してあります。そう言えばMs.Reaper、脇腹の傷は大丈夫ですか?」
「大丈夫、軽傷よ。」
タタリは少し歩いて棚に手を伸ばした。
「報酬はこの封筒の中にあります。どうぞ。」
タタリはサツにその封筒を渡した。
「奴の懸賞金と同じ額だ。200万J、いかがかな?」
「ええ、ありがたく頂戴するわ。それでは、ごきげんよう。」
サツと尚俊がキネベス家の玄関へ向かう。
「サツ、先ほど軽傷と言っていたが本当か?」
「あんなの重傷にはならないわ。」
「腹を撃ち抜かれたのに?」
サツが足を止めた。
「とある理由があってね。もし気が向いたら話してあげるかもしれない。」
サツは笑顔を作った。
「まあ、話す前におっ死んだらこの話は忘れてくれ。」
尚俊はますます不思議に思った。けど今追求すれば、2度と話してくれない気がした。彼女とのスキンシップを保ち、より良くしていくために。キネベス家を出た。後ろから婦人の声がする。
「また依頼するかもしれませんね。その時はあなた達にまた頼もうかしら。」
彼女はフフフと笑って手を振っていた。2人は迎えの車に乗ってその場を後にした。本当に怖いのは死神でも幽霊でも化物でもない。人の心なのだ。
「尚俊、今度の依頼はなんだろうな。」
「君の仕事熱心なことには感心するよ。でも今はその傷を癒すために休憩したらどうですか?」
「心遣いありがとう。まあ、分け前と山分け分で50万稼いだわけだし、休みますかな。」
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報告が終わり、本拠地から出た。これから休暇に入るわけだが殺し屋は気が抜けない。偽名を使い、身分証明書も偽装のものを使う。また、殺し屋も殺し屋に狙われることはある。金のためなら同族を殺すことだって厭わない。僕はこんな危険な能力を手にした。でも、心は人間だ。人を簡単に殺める決断が出来ること以外は。
「それじゃ、また任務の時は宜しくな。」
「サツさん、お元気で。」
サツ、彼女に隠された秘密とは。2人の殺し屋はそれぞれの心情の元、また任務を遂行する。




