復讐の依頼
死神は潜む…光の中にも…あなたの近くにも…
私は身支度を整えた。昨日と同じ貴族の様な服装に着替えた。
「尚俊さん、もう準備は出来てる?」
「ええ、もう大丈夫ですよ。」
私は呼び出しボタンを押した。店長がわざわざ来た。
「いやはや、今回はあなた方の様な貴族に来てもらえるとはとても嬉しく思います。今後もご贔屓にお願いしますね。」
私は笑顔でそいつの前に立った。
「ええ、そうしようと」
私はカバンから銃を取り出し奴の下顎に突きつけた。
「思いませんがね!」
ヒィッ!!と声を上げて怯える。
「な、何がえっ、あぁぁ」
「よくもまあこんな悪趣味な隠しカメラ仕掛けといて今後ともだ。ふざけんじゃねーよ。」
そいつはヘタリとその場に座り込み、うなだれた。私は舌打ちをして金だけ置いていった。
「すみませんね。別に昨日はただ泊まってただけなのでカメラ見てても面白いものは写って無いとは思いますけどね。とりあえず今回のことは忘れてください。」
そう囁いて尚俊がそいつの首に手をかけた。
「カッッハワワワッオゴバッ」
白目を剥いて苦しんでいる。1、2、3、まさか殺る気か?8、9、尚俊が手を離す。そいつは恐怖に顔を歪め、泡を吹いて倒れていた。
「殺しては無いな?」
「もちろん。」
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専用の車で依頼者の家へと行った。真っ白であるところが特徴的で如何にも金持ちと言った感じだ。私達は呼び鈴を鳴らした。
「…どちら様で。」
「依頼を受けた者です。」
「…どうぞ。」
扉が開いてスタイルの良い女の人が出てきた。
「こんにちは、ユーリ=キネベスです。案内します。」
私達はその女の人に着いて行った。
「ねえ、殺し屋さん。あなた達って向こうが名乗ってもあなた達は名乗らないの?」
急な質問だ。そりゃそうだろと思った。
「まあ、ルールですので。」
尚俊が答えた。
「フフッ、まあ私達も闇に生きる人間。表向きでは本当の顔を隠しているものね。」
その目は笑っていなかった。その目の奥には怒りと復讐が渦巻いているのがよく分かった。その後少し歩き、着いたのは太った男が座っている部屋だった。
「タタリさん、来ましたよ。」
その男は振り返った。その顔は真っ赤になっていて涙を流していた。
「クハハハハ!!これでアイツに復讐出来るぞ。」
涙を流しながら高笑いするというかなり恐ろしいことになっていた。
「依頼を聞こう。」
「あの娘を殺したベヒタスを殺してほしい。」
ベヒタス、あの天下の大悪党と呼ばれるアイツか。最初はタダの強盗で、呆気なく捕まった。しかし、その後刑務所のヤツらと一致団結し全員揃って脱獄。その後勢力を伸ばしていったという。その強盗の方法は今ではとても残忍で恐ろしい。街を丸ごと潰すのだ。人を生け捕りにし、家を破壊し、金目になるものを奪い去る。もちろん世界中心機関には目をつけられていた。つい一昨日タムル村が滅ぼされた。明日世界中心機関軍の殲滅作戦が始まるが、まさかその最中に殺しに行けと?
「もし、出来れば動けない状態で生け捕りにして来たら報酬をはずもう。」
私達は目を合わせた。この条件は尚俊にとって少し不利な条件だ。しかし、尚俊はうなづいた。
「承知しました。明日殺害を実行します。」
キネベス夫妻の怒りと憎悪に満ちた笑顔は召使たちを震え上がらせた。
彼らに課された難関な依頼 2人はどのように依頼をこなすのか。次回へ続く




