2人の死神
白柳サツ:プロの殺し屋。銃の弾を無限に出す能力を持つ黒血者。兎の獣耳者だが、右耳が欠けている。
私は依頼主の家に近いホテルのロビーにいた。ここでパートナーと待ち合わせになっている。集合時間まで後10分程あるが、早過ぎてしまったか。そう思い帽子を触っていると後ろから声をかけられた。
「お待たせしてすみません、ミス・カーラ。」
振り返るとタキシードを来た長身の男性がいた。私は今は偽名を使い、服装も貴族の女の様にしている。
「ミスター・ゲラポスですね。では、行きましょう。」
私は部屋の鍵を見せて、その部屋へと向かった。部屋に入ると暑苦しい帽子を取った。早くこの動きにくい服装から着替えたい。が、まずは…。私は銃を取り出し、鏡を撃った。中から煙が出てきて、機械の壊れる音がした。
「チッ。悪趣味な所だ。ここの従業員も勝手にターゲットに入れてやろうかな。」
私は独り言の様に呟いた。
「流石殺し屋の世に名の知れ渡ったですね。」
パートナーの彼は拍手をしている。
「申し遅れました。私は今日から貴女のパートナーとして働かせて頂きます、殺し屋の鬼々尚俊です。」
彼は手入れされた黒い艶のある髪をなびかせながら礼をした。そして握手をしようと手を差し出した。私はためらわず握手をした。
「白柳サツです。宜しく。」
尚俊は少し固まった。沈黙の後、彼は口を開いた。
「信頼して下さってもらい、嬉しいです。」
彼は満面の笑みを見せた。
「まあ、アンタの能力を聞いたら握手しない人の方が多いしな。まあ、私はアンタと同等なだけ触れると危険だからね。」
2人で笑った。私は割れた鏡を見た。白いロングヘアーとうさ耳だ。しかし、右耳が半分程欠けている。殺し屋にとって個性があるのは足枷となる。
「そういえば、アンタの能力は便利そうだと思うんだが」
「いえ、貴女の能力の方がとても使いやすいと思いますよ。」
「ほう。何故?」
「実は能力を行使すると使われた人には今まで感じたことのない恐怖を感じてしまいます。なので、確実に10秒間触れることの出来る状況じゃないと使えないのです。」
私は右耳の包帯の結び目を触った。
「今のを聞くとアンタの手で十秒触ると心臓を止める能力も難しそうだな。私の銃の弾を無限に出す能力の方がよっぽど使いやすいな。」
私は尚俊の前に来た。
「とりあえず、私たち2人は業界トップクラスであることは間違いないだろう。明日はその腕を見させてもらうよ。」
尚俊は一礼した。
2人の死神が命を刈り取る。次回へ続く




