表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没1  作者: 零眼のメルト
12/16

『D』

僕は身支度を進めていた。なるべく動きやすい格好にして、殺し屋関連のものは全て置いていく事にした。代わりにケーター団の自分の部屋に常備してある『ラクターン=キライア』としての持ち物を持っていくことにした。いや、言うなれば『鬼々尚俊』としての僕が偽りなのだが…。僕が準備を終えて部屋から出ると、部屋の前に天水兄妹がいた。

「ラクターン兄ちゃん。」

「うん、行こう。」

僕達3人で出口に向かっていった。出口付近にラインハルトさんがいた。彼は僕達の方を見て笑顔を作った。

「無事に4人で帰ってこい。またみんなでここで暮らせるようにな。」

「「「はい!」」」

「そうだ。もしもの為にこれを持ってきな。」

そう言ってラインハルトさんは僕に小さな銃を手渡した。それは銃口部が広がったハンドガンのようなものだった。

「それはかなりのものだ。撃てば確実に機械をぶち壊す。ただ決して近距離で人に向かって撃たないこと。最悪死んでしまう。後、相当脆いらしい。充電すれば使えることもあるらしいが、ほぼ1回きりだ。」

「へえ、凄いね、これ。」

レイラが感嘆の声を出した。ワタルも興味があるようで見ている。

「これ、パルス銃ですよね。」

「お前、知ってるのか。」

「殺し屋仲間との会話で出てきて。でも、相当の技術者じゃなければ作れないって聞きましたが。」

「そうそ、アタイみたいなのじゃなきゃね。」

ラインハルトさんの後から声が聞こえた。そこにはサツさんと同じくらいの身長の女性?が立っていた。仮面をつけているが、声と髪型から女性だと推測した。

「ああ、紹介しよう、彼女は」

「いいや、いい、アタイは名乗る名など無いからな。ふむ、敢えて呼ぶなら『D』だな。」

「はじめまして、僕はラクターン=キライアです。宜しくお願いします。」

「俺は天水ワタル。」

「私は天水レイラ。」

「アッハッハッハッハッ!若い子達はいいねえ。アタイはもうババアじゃが、活気が溢れとる。」

そう彼女は言ったが結構元気だ。少なくとも自分よりは。

「で、急ですまんが、アタイここの技術者になることにした。」

ラインハルトさんが驚いた表情をした。

「Dさん、私も聞いてなかったのですが…」

Dさんは仮面の液晶に笑顔を映し出してラインハルトさんの方を見た。

「今急に決めたのよ。アタイは今までブラブラして殺し屋やら闇市やらにアタイの技術売り歩いてたんだけど、もう年だよ。疲れたからここで暮らそうということ。」

Dさんは大きな声で笑った。ラインハルトさんはこっちを見た。やめてください、そんなテンション高すぎてついていけないって目で見るのは。

「そう言えば、お兄ちゃん達は今から出かけるのかい?」

「はい、世界中心機関に用があって。」

「なるほど。まあ、こんなご時世急に鉛玉が飛んできてもおかしくないからね。邪魔して悪かったね。」

「いえ、大丈夫です。行ってきます。」

「「行ってきます。」」

「行ってらっしゃい。」

「無事に帰ってこいよ。」

僕達は車に乗りこんで出発した。ん?携帯に連絡が入っている。気づかなかったな。…え?なんでDさんの連絡先が登録されてるんだ。何だ『勝手に追加してごめんね。まあ、これから宜しく。』

………

いや、どうやったんだ。僕はため息をついてメールを閉じようとした。しかし、メールに違和感を感じた。スクロールできる。とてつもなく長い空白が入れられていた。一番下に貼られていた写真が目に止まった時、僕は驚きを隠せなかった。その写真は紛れもない「白柳サツ」、彼女の写真だった。そして一緒に送られた文。『もし、万が一、彼女のことを知っていたら教えて。』

一体、彼女は何者なんだ?僕達の味方なのか。それとも…

いや、今はセイレナの事に集中しよう。Dさんのことは帰ってからだ。

Dから来たサツのことを尋ねるメール。彼女は一体何者か。ラクターンはセイレナを連れ帰ることが出来るのか。次回へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ