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師匠★無双〜俺がパワーレベリングされた訳〜  作者: 名明伸夫
第1部〜王都へ〜
6/18

episode04【バトル!バトレバ!バトルトキ!①】

※ウィルvsゴブリン×4編


 ✳︎  ✳︎  ✳︎


「もうこうなりゃヤケクソだコノヤロー」

 俺は腹を決めてゴブリン達を睨み付けた。


「ゲギャギャ、グギィ!」


 ゴブリン達は互いに不気味な声を上げながら、ウィルの周りを回るように間合いを図っていた。


(こいつら、俺を四方から囲むつもりだな……それなら──)

 俺は長剣を持ち直し正面に構えると、視線を左右に動かしながらゴブリン達の様子をうかがった。


「ギィ!!」


 そう声が聞こえたかと思った瞬間、俺の背後に立っていたゴブリンがメイスを振り上げて走り込んできた。


(……今だっ!)


 俺が後ろのメイスゴブリンに素早く向き直ると、他のゴブリン達も好機と見たか、一気に攻め込んでくる。


「どぉりゃぁぁぁ!!」


 俺は勢いよく最初に突っ込んできたメイスゴブリンに向かって大きく一歩を踏み出すと、右足で思い切り踏み切って飛び上がった。


「グギャ!?」

 突然の出来事にタイミングが狂ったのか、ゴブリンが振るったメイスは俺の目の前で空を切る。

 そして、バランスを崩して死に体となったゴブリンの顔面を左足で踏み付けると、俺は更に高く飛び上がった。



「これでもぉ……喰らえぇぇぇぇッ!」



 俺は空中で上段に剣を構えると、そのまま落下しながら叩きつけるようにゴブリンに向かって剣を振り下ろした。


「ギギッ」

 ゴブリンは咄嗟にメイスで防御し、ガギンと重い金属音が響き渡ったものの、重力を伴った長剣の勢いは止まることなく、そのままメイスと共にゴブリンの身体を一刀両断した。


「グギャァァァ!」

「はぁ……はぁ……。まだまだぁぁぁ!」


 両足で踏ん張る様に着地すると、斬り捨てられ血飛沫を上げるゴブリンには目もくれず、直ぐさま振り返り剣を構えて牽制した。


 残ったゴブリン達は仲間が斬られた事に驚愕した様子を見せたが、その目の奥はすぐに怒気を孕んだ色を帯びていった。


「グギャギャァォ!」

「ゲギャゲギャギャ!」

「ギャゴォォォ!」


「何怒ってんだよ。こっちは最初っから死ぬ覚悟でやってんだ……だったらテメーらも死ぬ気で掛かって来いよ!」


 生まれて初めてゴブリンを斬り伏せた妙な高揚感からか、俺はゴブリン達に向かってそう叫んでいた。


 すると、その言葉に呼応するかの様に今度は短剣持ちのゴブリンが素早いスピードで迫ってきた。


「くっ、このっ!」


 負けじと俺も剣を横に振るって応戦するが、ゴブリンはすんでのところで屈み、剣の軌道を避けた。そしてすれ違うように俺の左足を持っていた短剣で切り裂きながら駆け抜ける。


「痛ってぇ! ちょこまかしやがって……うおっ?!」


 切られた左足に一瞬気を取られた隙をつき、別なゴブリンが手に持った片手斧を勢いよく振り下ろしてきた。


 ギィン!


 何とか長剣で弾くように片手斧を防ぐも、手にビリビリと強い痺れが残る。

 俺は片手斧ゴブリンを足で押し出すように蹴飛ばすと、すぐに辺りを確認する。


 ──短剣持ちは、体勢を整えまた俺に向かってくる機会を窺っている。片手斧持ちはバランスを崩して尻もち……もう一体はどこだ?!


「……上かっ!?」


 俺は上を見上げると、もう一体のゴブリンがメイスを構えて、今まさにこちらへ飛びかからんとしていた。

 反射的に剣と腕で頭部をかばうも、振り下ろされた金属製メイスの衝撃は予想以上に強く、俺はそのままたたらを踏むように後ずさった。


「きっつぅ……こりゃヤバいな……」


 ズキズキと両腕に走る鈍い痛みに耐えながら、俺はため息混じりにそう呟いた。

 頭に手をやると生暖かくヌメヌメとした感触が伝わる。どうやら頭部から出血しているようだった。


(何か奴らの隙を作るきっかけさえあれば……)



 そう思った瞬間。



 ゴォッと激しい熱風が辺り一面に吹き荒れたかと思うと、その熱量は俺から少し離れた場所でゴブリンメイジと対峙するロエルへと集まっていった。


 そしてその熱は、ロエルの掲げた手の上で一点に集中し、やがて直径2メートルはあろうかという巨大な火球となった。

 じりじりと俺の周囲まで焼け付くような熱気が包み込む。


 先程まで俺を睨むように向き合っていたゴブリン達もそのあまりの迫力に気圧けおされ、ロエルの火球に気を取られている。


(ここしかないっ!)


 俺は剣を持つ手に再度力を込めると、近くにいたメイスゴブリン目掛け一気に距離を詰めた。


 ゴブリンが俺の動きに気付いて身構えたが、それよりも一瞬早く俺の放った突きがゴブリンの喉元を貫いていた。


「ゴガッ……ガッ……」


 刀身を掴み、苦しそうに悶えるゴブリンを振り払う様に剣を引き抜くと、ゴブリンはそのまま喉元を押さえる様に地に伏した。


 そして、残った二体のゴブリンが狂った様に俺に飛びかかってきた刹那──

 俺の脳内に聞き覚えのあるファンファーレの音が鳴り響き、視界の隅に小さくウインドウが浮かび上がった。



────────────────────



 【 ウィル は レベル が あがった! 】



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