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魔法少女 推☆参 はじめに
夜明けの日差しを背に一人の少女が始発列車を待っていた。
首都・東京。
この街に蠢く人の群、
おびただしい数の苦渋の山。
――――そんなもの、今の少女に興味は無い。
ここはビルの屋上、
今しがた吸血鬼が自決を図った地点である。
「ねえ、見まして?」
そう少女が呟いた。
桜色の和装を身に纏い、乱れぬ黒髪を桃色の帯が一束に上げている。
革製のブーツが死体を踏む。
旧く、骨董品めいた拳銃を握りながら。
名を二十六年式拳銃。旧帝国陸軍が配備した、逸品である。
製造から既に百年以上が経過し、その名は最早伝説の域に到達している。
宿る魂は気高く、大和を誇った。
「はい、見ましたよ。――――お嬢様」
二十六年式拳銃が落ち着いた声で答えた。
「薄汚い埃まみれのゴキブリ娘、ほんとうの誇りを見せてあげます」
その決然とした魂が、眼下の少女を許さない。
耳を搗く下品な機関銃の音、西洋かぶれの衣装に、東洋魔術。
そんな殺す為だけの人間に意味は無い。
「いきますわよ――――、フタロク!」
殺さなければ。
少女が跳躍した。