残響
どうやらとうに根腐れていたようで
指先から黒ずんで崩れてしまった
爪がぽろぽろ乾いて剥がれて
ささくれに滲んだ血はあっという間に固形物
気紛れなあたしに花を育てるのは向かないらしい
夕暮れに吹く風のようにさらりと捨てて
明日の手前で振り返る
気紛れになりきれないあたしには
腐りかけの階段を踏みしめるみたいに
肘が軋んで耳に障る
剥き出しの腕を這い上がる空虚
抗うことすらも空しいのに
既に痛みは遠い残響
その影さえいとおしく
感触は喪って
世界は絵の中で
あたしはさよならで
砂が零れてもうすぐ終わり
目玉が最後に残るといい