向かう先は……
その後の事を語ろうと思う。
政と和解した乙女は政から「一緒に暮らさないか」と誘われた。
乙女は迷っていたけれど、
「……下野荘には皆がいるから。皆と離れたくない」
そう笑って断った。
そうか、と政はいつでも屋敷きなさいとわざわざ丘夏の方にまで言ってきた。
政に見送られての帰り道。
僕と乙女は二人っきりで歩いていた。
「良かったね乙女ちゃん」
「……うん、全部丘夏のおかげ」
「はは、お世辞でもそう言ってくれると嬉しいよ」
ふるふると乙女は首を横に振る。
「ううん、本当の事」
「え?」
「丘夏がいなきゃ私、ずっとお父さんと向き合う事は出来なかった。あの時、丘夏が背中を押してくれたからここまで頑張れた」
「乙女ちゃん……」
「本当にありがとう丘夏。丘夏には感謝しても感謝しきれない」
「……それなら良かったよ。お隣さんがいつまでも俯いていちゃゲームも出来ないしね」
「うん。またゲーム、しよう」
「じゃあ行こうか。乙女ちゃん」
「……どこに?」
「そんなの、決まってるよ」
手と手が自然とつながる。
向かう先は──皆がいる下野荘。
〜〜FIN〜〜
今までありがとうございました。
次回作にご期待ください。




