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しもつけそう。  作者: 白菜
第五話 出かけよう、そうしよう
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そういうこと

「イチャラブの最中悪いんだが、話に入ってもいいか?」




「「⁉︎」」


 抱き合った状態から聖が部屋に入ってくる。

 慌てて丘夏は乙女から離れる。

 聖がドア付近で待機させていた事を素で忘れていた。


「い、イチャラブはしてない!」

「はいはい、リア充爆発しろ」

「だからそんなんじゃないって……!」

「んで、説得は済んだんだな。それじゃあ、早速那須野に質問だ」


 床にどっかりと座り、聖は乙女と向き合った。


「最後にテメェが父親に会ったのはいつだ?」

「……十年前」


 渋い顔をして乙女が答える。

 やはりまだ烏山と関わろうとする事に抵抗があるのだろうか。


「それっきり会ってない、か。そんでテメェはその十年間父親に会おうと何かしたか?」

「……してない」

「そうかよ」


 だったら話は簡単だ、と聖は口元を吊り上げる。


「会いたい、とテメェが父親に連絡すればいい。それが父親に方法としては一番可能性が高ぇ」

「……!」

「ちょっと待った聖。その方法で本当にいいの?」

「他に何かあんのか? 無駄に策を凝らすよりオレは率直にやった方がいいと思うぜ」

「うっ……でも、乙女ちゃんが」


 乙女を見ると、顔を青くし体を震わせている。

 父親に連絡を取る。

 烏山に怯える乙女にそんな事が出来るのだろうか。

 ここは慎重にとそう思ったのだが、その前に不機嫌そうに聖が乙女に吐き捨てた。


「ビビってんじゃねぇよ。ツケを払う時がきたってだけだろうが。今まで見ないフリをし続けたのはテメェなんだからよ」

「聖! そんな言い方……!」

「……ううん、大丈夫丘夏。ボンボンの言う通りだから。過去と向き合わなきゃ、だから……」

「乙女ちゃん……」


 拳を握り、歯を食いしばる様子から乙女が無理をしている事が目に見えた。

 今乙女は過去と、父親と向き合おうとしている。

 ならば丘夏はそれに全力で協力するだけだ。


「……連絡の方法は通話でもメールでも何でもいい。兎に角、会うように連絡しろ。それでテメェの仕事は完了だ」

「分かった……やってみる」


 ポケットから携帯を取り出した乙女は自分の仕事を果たすため、別室へと向かった。




「そんでテメェはアイツの父親に会ってどうするつもりだ? まさか本当に殴るつもりじゃねぇだろうな?」

「場合によってはあるかもね」

「オイ」

「まぁでもさ……僕は僕に出来るをやるだけだし」

「はぁ? 何だそれ?」

「そういうことだよ」

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