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しもつけそう。  作者: 白菜
第五話 出かけよう、そうしよう
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「烏山……か」



 乙女が部屋へと帰った後、丘夏は一人呟く。


「確か今日、花屋で会った人の名字……あれも烏山だったような……」


 となると、あの人も烏山の人間という事なのだろうか。

 だとしたらあの人は……。


「……まだ決めつけるのは早いか。今日のところはまず……」


 机に置いてあるノートパソコンを開き、丘夏はインターネットの検索ページを出した。

 乙女には言わなかったが乙女の話だけじゃ烏山について正直よく分からなかった。

 ここは自分で調べるしかないのだろう。


「烏山、烏山……っと。おっ、出た出た……ってヒット数四百八十六万件⁉︎」


 あまりの数に丘夏は流石に驚きを隠せなかった。

 取り敢えず適当なサイトにアクセスをしてみる。

 するとすぐに烏山についての情報は出た。


「あー……そりゃこんなヒットするわけだ」


 調べるに烏山は地方では有名な大企業を担ってるらしい。

 乙女が裕福だった、と言っていたから何となく察してはいたがこれほどまでとは。


「各地で力を付けるとともに大金企業とも関わりがあると……ん? 大金?」


 この大金というのは……やはりあの大金なのだろうか。

 丘夏は下の階に住む金髪馬鹿の事を思い浮かべる。

 大金は烏山と関係がある……だから聖が乙女にあんな事を聞いたわけか。


「烏山について大体の事は分かったけど……まだ分からない事があるな」


 これはネットでは得られない情報だろうが……丘夏が第一に知りたいのは乙女の父親についてだ。

 端的にしか伝わらなかったが乙女の父親が乙女に何をしたのか何となく分かっていた。

 きっと色々な事情があるのだろう。だが、十年も経っても娘と拒絶するというのは一体親としてどうなんだろうか。

 丘夏は大切な誰かを亡くした事がないからはっきりとは言えない。

 だが、乙女の父親の行動は親として間違っていると思う。


「それをはっきり言ってやりたいけど……大企業の社長にどうやったら会えるのか……」


 しばし考えて、丘夏は手のひらにポンと拳を置いた。




「──そうだ。聖に頼んでみればいいんじゃないか?」

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