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しもつけそう。  作者: 白菜
第一話 隣の住民はドジを拗らせている
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推定Eの天然クッション

 歩く途中、乙女はよく転ぶ。




「──っ!」

「大丈夫、乙女ちゃん?」


 排水溝の溝に足を引っ掛けたのか、乙女は顔から盛大に転んでしまう。

 本日初となる転びはスカートを完全に捲れ上がらせ、パンツがモロ見えという百点満点中百点の転び方だった。

 いつものラッキースケベに慣れている丘夏は「今日はライトグリーンか……」と冷静に観察してから乙女のスカートを元の位置に戻してやった。

 ……毎回思うが、乙女は意外といい下着を着用している。


「……痛い」

「顔を地面に打ち付けたんだから当たり前だよ」


 涙目で打ち付けた顔を晒す乙女。

 鼻の先がほんのり赤く染まっていた。


「あー、鼻が赤くなっちゃったね。傷がないのが幸いかな」

「ん。それなら良かった」

「そういえば乙女ちゃんってよく顔から転ぶけど、顔に傷ができないよね」

「小さい時はよく出来てた。けど、だんだんと大きくなる内にどう転んだら傷ができないか分かって……」

「そこは何とかして転ばない努力は出来なかったのかな……?」

「あと、転ぶ事に耐性がついたのか体が丈夫になった。最近はアパートの階段から転げ落ちても無傷だった」

「それ耐性がどうこうの問題じゃないからね?」


 乙女の程のドジっ子になると階段から転げ落ちても傷つかない、サイボーグの体を手に入れる事が出来るらしい。

 悲劇を元にその体を手に入れている事を考えたら、自分も手に入れたいとは微塵も思えないが。


「いや、でも階段から転げ落ちたら流石に怪我すると思うんだけど……」

「しない。体が丈夫だから全くの無傷」


 「無傷」ともう一度言って、乙女は胸を張りながらドヤ顔をした。

 よほど体の丈夫さを強調したいのだろうか。


「そんな丈夫とかレベルじゃ……ん?」


 ふと目につく。

 何にか。乙女のたわわな胸にだ。

 より詳しく言うなら、たゆんと今にも音を立てそうな巨大な双丘に、だ。

 目を閉じ、丘夏は想像する。

 乙女が階段から転げ落ちた時、果たしてこのおっぱいはどうなるのか。

 ただ揺れるだけか? ただ跳ねるだけか? ただそこに存在するだけなのか?

 否。

 目を限界まで見開いた丘夏は答えを導き出した。




「なるほど……クッションか」

「……?」




 天然クッションは本人には無自覚に仕事をしているらしかった。

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