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まだ信じている
夕日が差し込んでいる。
「夕方になると元気がなくなるのよ。またねさくちゃん。」
のんちゃんはそう言って帰っていった。
帰路、十二月の平日、午後四時。近所の子どもたちが私の横を通り過ぎる。
「じゃあな!」
「おう!またな!」
二つの分かれ道ほんの手前。二人の少年は、手を振って走っていく。
彼らに親しみの感情を抱きつつ、そういえばとふと思い出を巡ってみる。
のんちゃんとは幼馴染で、毎日一緒にいたような気を持つ。家庭環境が似ていたため、夜遅くまでのんちゃんや私の家で話していたのだ。
そんなのんちゃんとの帰り道、小学生のころは必ず手を繋いで帰ったものだ。
始まりは三年生の冬、のんちゃんの提案からだった。
「ねえさくちゃん。今日からは手を繋いで帰らない?」
「ええ。なんで?」
「家に帰っても誰もいないでしょ。ストーブをつけてあったまるまで長いんだもん。帰ってから手があったかいほうがいい。」
「カイロじゃだめなの?」
「カイロは優しくないからあったかくないよ」
のんちゃんが表情も変えずに言ったあと、私はふーんと言って手を差し出した。