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校舎案内は賑やかに

 8時半から校舎案内があるのを忘れて二階ホールでのんびりしていた俺とゆうは、赤髪の男に言われて半近くになっていたのに気付き、漫画を悠希さんに任せて階段を駆け降り、通路を走ってランチルームに到着する。息切れしながら中に入ると、先に来ていた戈炎たちがテーブルで(水が神谷の喉元にナイフを突きつけながら)仲良く談笑していた。神谷は何をやらかしたんだか・・・


 ハアハアと荒い息をしながらテーブルに着くと、隣に居た戈炎が不思議そうに見てきた。燐たちもジロジロ見ないでくれ・・・。横でぐったりしてるゆうはテーブルに引っ付いて涼み、俺は手を団扇(うちわ)のように(あお)いだ。中学卒業後に走ってなかったからか、短い距離だったのに息がすぐ上がる



和貴、ゆう

「「喉渇いた・・・」」


ルゼ

「水要るか?」


和貴、ゆう

「「くれ!/要る!」」



 何処からか水差しを持ってきたルゼは、ガラスのコップに水をいっぱい注ぐと水差しを置いてこちらにコップを渡してくれた。受け取りつつ、「ありがとう」と感謝するとルゼが顔を赤らめる。感謝されることに慣れてないから・・・らしい。コップの水を一気飲みすると渇いた喉が潤いを取り戻していく。冷たい水がスッと身体に染み渡っていく感覚は心地良い


 水を飲んで一息ついていると、ロングヘアーの女子となぜかニット帽を被っている男子がランチルームに入ってきた。二人は一年生テーブルに近づくと、ニット帽の男子が手を二回叩いた。すると、話し込んでいた水たちがその音の出所に顔を向ける



彩音

「全員集まってるね。はじめまして、私は三年の空崎彩音」


龍斗

「同じく三年の赤羽龍斗です。これから校舎案内をするから僕たちに着いてきて下さい。それじゃあ、行きましょうか」



 前を歩く三年の空崎と赤羽の後ろに続いてランチルームを出る一年生たち。一行の予定は初めにランチルームの出入り口から右側の廊下をちょいと進んだ所にある校長室、職員室、コピー室、会議室の四ヶ所を巡り、次に左側の廊下を進んで保健室、理科室、技術室の三ヶ所を廻ったら、二階に向かって各学年の教室、視聴覚室を廻って三階の音楽室、家庭科室、美術室を見学して再びランチルームに戻ってくるという校舎案内ツアーである。学校関係者が参加した場合は特典として参加費が無料になります!!



 コピー室を覗くとテルス先生がコピー機でなにかを印刷し、その後ろでは鴎森先生がお茶を飲んでた。職員室ではソロモン先生とガノン先生が仕事をこなし、鬼山先生は縫い物をしている。校長室では魔王さんが死神さんと黒月さんのカードバトルを眺めている。去り際に黒月さんが「運命の神は小生を見放してはいないようだ・・・。俺のターン!ドロー!」と叫んでいた


 今日は特別日程で一年生は午前中は校舎案内、昼食を摂って午後からは体育館で実力検査という、この学校ならではの授業が待っているらしい。因みに一年生が校舎案内を受けている間、二、三年生は各自自由に行動しているそうだ。なので、先生たちも午前中はのんびり過ごしている人が大半を占めている


 次に向かった保健室ではボサボサの黒髪、目の下に隈がある白衣の女性が試験管に薬?を入れていた。身長は俺より低いが赤羽さん(いわ)く二十歳はとっくに過ぎてるとか・・・



美和(みわ)

「あら、一年生かしらぁ? 私は英紫(えいし) 美和(みわ)よぉ。困った事があったら保健室にいらっしゃい、私の薬で解決するわぁ」



 なんか怖い、よく分かんないけどなんか怖い・・・。保健の先生って言うよりマッド・サイエンティストの方が似合っているような気がする。保健室を後にして理科室に向かうとリイユウ先生が薬を調合していたり、プラネンさんがパシられてたりしていた。一階は見終わったので技術室近くの階段から二階に上がり、一年教室の場所をみんなで確認する



彩音

「8時にHRがあるからそれまでには教室に居て。教科書とかは後ろの各自の棚に仕舞ってね。質問がある人は居る?」


一年生たち

『大丈夫です(大丈夫ッス)』


彩音

「そっか。じゃー次に行こっか♪」


龍斗

「視聴覚室は昼休みの時と放課後の時になら使って良いですよ」



 説明の途中で視聴覚室の扉がガラリとオープン



??

「龍斗じゃないか。一年生の案内か?」


龍斗

「チャクラか、なんか調べてたのか?」


茶倉(さくら)

「わちは茶倉じゃーー!!」



 ほのかに金色のセミロングの髪。身長は150前半で丸顔でどこか幼さの残る、利発そうな顔立ちの女の子が赤羽さんに開口一番怒鳴った



ゆう

()っせー」


戈炎

「小学生がなんで居るんだ?」


茶倉

「わちは高校三年じゃー!!」


一年生一同

『えええええーーー!!?』



      ***



 ちょっとしたひと悶着のあと、校舎案内を済ませた一年生集団は解散し、和貴とゆうはグラウンドに来ていた。グラウンドでは二年生によるサッカーが繰り広げられ、何故かときどき雷がボールに落ちたり、ボールを止めた選手が黒焦げになったりと中々見ない試合模様である



 三年生はどことなくグループ別だったり個別に行動している感じだけど、二年生はみんな仲が良い感じがするな〜。よそよそしい雰囲気を感じないから、それぞれが本音で付き合ってるようなそんな感覚がする。お、弥野先輩がゴールに向かってく



レナ

「行っけぇ!」


サラ

「決めろ!」


クラト

「させるかぁ!」


音流

「ライジングシュートォォ!!」



 ※『ライジングシュート』

 雷を纏わせたサッカーボールを勢いよく蹴り飛ばす弥野の得意技。素手で取ると感電するのでゴム手袋着用推薦。バリバリと音がする。おお、こわいこわい



ゆう

「バリバリと音を鳴らしながらサッカーボール(雷属性)はゴールに一直線! ゴールキーパーのクラト選手は止められるか!」


和貴

「実況するなよ!」


クラト

「うおおおおおお!!」


ゆう

「クラト選手飛び上がったー!からの蹴り返しだー!!」


和貴

「だから実況すんなって!」



    ゴロゴロ・・・



和貴、ゆう

「「へ?」」


ツクル

「しまった!」


クラト

「呼び込み忘れてたーーー!!!」



 ライジングシュートは雷を呼び込む性質があったのだ☆










 グラウンドに響く落雷の音と悲鳴、そして歓喜の声。チャイムが試合終了を告げた


出演者の小説紹介


『ミラーワールドシリーズ』


・英紫 美和


『ドラゴノイド 〜龍化病〜』


・茶倉 光

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