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異常な朝食模様

 プラネンさんとリケさんの口論がリイユウ先生に鎮圧されたのを確認後、ランチルームに到着する。朝早く(AM・6:35)だからそんなに人は居ないだろうと思っていたが、意外にもそれなりの数の生徒や先生たちが朝ごはんを食べていた。三年生のテーブルの一ヶ所では昨日と同じのろけた空気が視認できる・・・羽根つきハートまで飛んでるぞ


 俺は厨房のそばのホワイトボードに貼ってある『日替わり朝食メニュー』と『定番メニュー』を眺めてみる。今日の朝食は鰆の塩焼き、卵焼き、おひたし、味噌汁、ご飯というバランスが良い朝食のようだ。厨房からは味噌汁の良い香りが漂ってきて、俺の食欲を刺激していく



調理員

「あら、新入生ね。食べたいものは決まった?」



 良い匂いにぽっけーーとしていたら、厨房の方から急に話し掛けられて飛び上がる



和貴

「わ! あ、はい。えと、日替わり朝食をお願いします」


調理員

「ご飯は普通と大盛りがあるけど、どっちにする?」


和貴

「大盛りの方で」


調理員

「分かったわ。出来たら呼ぶから座って待っててくれる?」


和貴

「はい」


調理員

「そういえば、名前は?」


和貴

「大宮和貴です」


調理員

「大宮和貴君ね、良い名前ね♪」


和貴

「ありがとうございます・・・」



 にっこり笑って厨房の奥に消えた調理員の美人なお姉さん。あんなに綺麗な人って居るんだな・・・なんて言うか・・・綺麗過ぎる・・・



「ちょっと良いか?」


和貴

「うえい!?」



 後ろから聞こえた声にびっくりして跳び跳ねる。振り返ると、お盆を持った神施蝋先輩がすぐそばに立っていた。神施蝋先輩が持っているお盆の上には綺麗になったご飯茶碗や皿が乗っている。成る程、食器の返却はセルフなのか・・・っと、先に退かないとな。横に避けると神施蝋先輩が食器を返却口に置き、「ごちそうさまでした」と調理員さん達に伝えた。俺は一年生テーブルに移動して辺りを見回す・・・あれ?弥野先輩だけ居ない?



調理員

「大宮くーん、出来たわよー」



 弥野先輩を探してキョロキョロしていたら調理員さんに呼ばれる。二年生のテーブルにチラッと目を泳がせたけど、やっぱり弥野先輩は居ない。二年生のテーブルに視線を向けつつ朝食を受け取りに厨房に向かうと、調理員さんが首をかしげた



調理員

「誰か探してるの?」


和貴

「弥野先輩が居ないような・・・」


調理員

「ああ、音流ちゃんはまだ来ないわよ」


和貴

「え? どうしてですか?」


調理員

「今、43分ぐらいでしょ?」



 壁に掛けてある時計を確認すると、確かに43分ぐらいだ。この時間が弥野先輩と何か関係があるのか?



調理員

「音流ちゃんは7時にならないと起きてこないわ。7時前に起こすと不機嫌極まりないの」


和貴

「何でですか?」


調理員

「音流ちゃんは年中睡眠不足だから」



 はい? 年中睡眠不足? ・・・開いた口が閉まらないとはこういう状況の事を言うんだろうか。呆れてなにも言えない



調理員

「それより、冷めちゃうわよ」


和貴

「あ、ああ・・・。ありがとうございます」


調理員

「どう致しまして♪」



 調理員さんの投げキッスが胸に当たってバウンドする。これが噂の魅了攻撃なのか・・・ダメージパねぇ。テーブルに戻ると同時に入口が開き、ゆうが欠伸をしながら入ってきた。ゆうは眠そうに目を擦って辺りを見回し、俺を見つけると側に寄ってきた。寝ぼけ眼が朝食の方を向いているから聞きたいことはアレだろう



ゆう

「それ・・・どこで貰うの」


和貴

「(ビンゴ)。彼処だよ、日替わり朝食って頼めば来るぜ」


ゆう

「んー・・・」



 眠そうな返事をしてから朝食を貰いにゆうは厨房の方に歩いていった。さて、やっとで朝ごはんを食べれるな



和貴

「いただきます」



 ズズッと味噌汁を啜るとあのほわーっとした感覚が身体を駆けていく。味噌汁の具がシンプルに豆腐とネギだけなのも俺としては好みである。味噌汁を置いて湯気を立てているご飯を他のおかずと一緒に食べていく。やっぱり、日本人に米は欠かせない

 カタンとお盆を置く音が前から聞こえたので顔を上げると、ゆうが朝食を持ってテーブルに戻ってきていた。ゆうは「いただきます」と言って味噌汁を一口啜る。すると、寝ぼけ眼→(´―ω―)が一転、パチリと→(*´・ω・)開いた。ようやく目が覚めたらしい


 特に語らずただ黙々と朝食を食べていた時、外から音楽が聞こえた。7時を報せる朝の鐘・・・広報が鳴っているのか。ここはどちらかと言うと田舎の類いだから広報が鳴るのは珍しくない。9年間聞いた音楽が鳴り終わったのでまた食べ始めると、入口からフラフラと弥野先輩が歩いてきた。Tシャツとズボン姿の弥野先輩はいかにも寝起きの格好だ



音流

「那醉さぁ〜ん…ご飯〜…」


那醉(なよ)

「おはよう、音流さん。ご飯は大盛り?」


音流

「(コクコク)」


那醉

「それじゃ、用意するね」



 厨房に現れた女性はさっきの人とは違う人だった。注文を済ませた先輩が二年生テーブルに座って大きな欠伸をした丁度その時、一個の羽根つきハートが先輩の頭にぶつかる。弥野先輩は振り返って頭にぶつかってきた羽根つきハートを鷲掴みにすると、躊躇せずに食べていく



和貴

「え・・・Σ(゜д゜;)」


ゆう

「和貴?(振り返って)・・・なんだ、あの光景(゜゜;)」


音流

「・・・(もしゃもしゃ」羽根つきハート→(羽根がピクピク引くついている。南無ー)




 いやいやいや待て待て待て待て。弥野先輩ちょっとなにしてんのぉぉぉぉぉお!? それ食べ物じゃないよぉぉぉぉぉお!? それ味あるのぉぉぉぉぉお!? (和貴、心の叫び)



ゆう

「和貴、ズレてる。そこ関係ない」


和貴

「お、おぅ…」


那醉

「音流さーん、出来ましたよー」


音流

「ふっ(羽根が数枚ひらり)」



 なんか・・・スッゲー残酷なの見た気がする。いや、朝ごはんはちゃんと食べるが。残すと悪いし、罰当たりだし、美味いし。お茶が体に染みるぅ・・・(和み)



 ――その後、弥野先輩は追加で羽根つきハート二個(・・・)と朝ごはんを平らげたのだった――


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