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第七話 始まりの音

どうして生きている。


どうして俺は死んでる。


なぁどうしてなんだよ。


痛いんだよ。苦しいんだよ。寂しいんだよ、


お前だけそんな平穏許されないからな。


これはお前の罪だ。罪にはちゃんと罰が待ってるんだ。


わかってるよな?わかってるから毎日俺の声が聞こえるんだよな?


もうすぐ罰はお前に下るよ。


楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。









「うわぁああああああああああああああああああああ!」

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ!」


体中汗でびっしょりになって私は目が覚めた。


「くそ・・・くそくそくそ!」


私はやり場のない怒りを自分の声として吐き出していた。

わかっていた。昨日頻繁に聞こえていたノイズもあいつからのメッセージだって。


その時廊下をドタドタと走ってくる音が聞こえた。


「ど、どうしたのおじーちゃん!?」

「あ・・・ああ、静香か。いや、ちょっと悪い夢を見てな。大きな声出してすまん。」

「大丈夫?すごい汗だよ。」

「ああ・・・大丈夫だ。」

「そう・・・?私仕事行ってくるけど、朝食テーブルに置いておくからね。」

「ああ、気をつけてな」

「うん、行ってきます。」


そういうと静香は小走りに玄関を出て行った。

情けない・・・。

まだあんな夢を見るなんて。

気を取り直して朝食を取ろう。


私は汗でびっしょりの服を着替え、居間に出た。






味気ない朝食を取りながら今日の予定を考えていた。

静香が作った物だ。不味いわけがないが、今日のは特に味気なく感じた。


昨日、和夫と会って変な話を聞いたからこんな夢見てしまったに違いない。

今日は一日家でのんびりしよう・・・。









昼過ぎ、ふと電話が鳴り出した。


「はい、橘です。」

「あー、もしもし、オヤジさん?」

「・・・またお前か。」

「またって事はないでしょ。かわいい後輩に。」

「わかったわかった。用件はなんだ?」

「相変わらず冷たいオヤジさんだなぁ。いえね、ちぃっと聞きたい事あったんですよ。」


こいつの持ってくる話にいい話はない・・・。


「・・・なんだ?」

「服部 祐二さんって、ご存知です?」


・・・・・服部 祐二・・・どこかで。


「いや・・・。」

「あれ?そんなハズないんだけどなー。」


ああ・・・思い出した。


「ああ、もしかしたら私の孫のフィアンセの男かもしれんな。」

「あ、やっぱり?」

「やっぱりって・・和夫、お前知ってやがったな。」

「だははは。すんません。んでちょっとお尋ねしたいんすけどねぇ。」


相変わらず喰えない後輩だ。

まぁ刑事としちゃ腕は確かだが・・・。


「静香さんとはあまりうまくいってないとかあったんですかねぇ?」

「・・・・?いや・・それどころか結婚するかどうかのところまで行ってるハズだが。」

「ありゃま、そうだったんですか。」

「どうしてだ?」

「いやー・・・そこに静香さん、います?」

「いや、静香はもう仕事に出かけたが。」

「うーん・・・まだどこにも知られてないんですけどオヤジさんにだけは言っておきます。」


嫌な予感がする。今日は朝からロクな夢も見てないし・・・。


「服部 祐二さんが自殺されました。」

「な、なんだと?」


私はある程度こいつの言い回しからして、そんな感じの事を言うんじゃないかとは予想していた。


「原因はわかりませんが・・・推定死亡時刻は昨晩の23時過ぎ頃。死因は出血性ショック死です。自分で腹を刺しちゃってます。発見が早ければ助かったかもしれないんですが・・。」


腹・・・・?


「なぜそれが自殺だと言うんだ?」

「遺書があるんですよ。自宅の部屋の中に。」


ますます訳がわからない。

こういう時、元刑事の好奇心ばかりが先走る。


「なぜそれで発見が遅れるんだ?」

「それなんですけど、ホトケさんの遺体が見つかったのが自宅じゃなくて近くの布沼川の中なんですよ。」

「訳がわからんな・・・遺書を残して、川で自分の腹切って死ぬやつがどこにいる。」

「でしょ?だからこいつぁね私が思うに他殺かもしくは、」

「自殺後なんらかの目的による死体遺棄・・・」

「です。」


なんてことだ・・・。静香の愛する男が殺された・・・。

静香がこの事を知ったらどんなに落ち込むだろう・・・。

それを考えただけで私は気分が恐ろしい程滅入ってしまった。


「とまぁ、そういうわけなんでね、もしかして静香さんも何か知ってるんじゃないかなーと・・・。」


その言葉でカチンときてしまった。

「きさまっ!私の孫娘がそいつを殺したと言いたいのか!」

「いえいえ!滅相もないですよ!ただ、なにか事件について知ってる事がないかと・・・。」

「それにしたって私の孫娘が人殺し事件に関与するわけがなかろう!バカも休み休み言わんか!」

「はいはい、わかってますって!あんまり怒らないでくださいよ。」


私はついやり場のない怒りをこいつに当ててしまった。


「でもま、祐二さんが死んでしまった事は事実です。また何かわかりましたらご連絡しますよ。オヤジさんの知恵も借りたいですしね。」

「ふん、もうかけてくるなっ!」


そういって私は電話を投げ捨てた。


それにしても・・・どういうことだ。

なぜ祐二君が・・・?




(もうすぐ罰はお前に下るよ)



・・・・これがそうだと言うのか。



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