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第六十一話 執念の脱走

しまった。




携帯が鳴ってはまずいと思い、慌てて取り出そうとした時肘を壁に打ちつけたようだ。


ばれたか・・・・・・?


しかし長谷川さんは特に何も不審がった行動はせず、しばらくするとどこかに出かけてしまった。

今度は外からちゃんと施錠したようだ。

という事はしばらくはここに戻らないという事だろうか。


私はそろりとお風呂場から出て、周囲を見回す。

眠っている祐二以外は特に誰もいないようだ。


私はホッと胸をなだおろした。


しかしとっさに奪い取ったこの拳銃・・・どうしたものか。

多分これがなくなっただけでは祐二の行動を止める事は出来ない。

かといってこれを祐二にいつまでも持たせておくのはまずいと思った。



ひとまずいつまでもここに長居するわけにはいかない。




私は長谷川さんがいないこの隙に家を出ることにした。


が、その時。


「・・・・・・ぅ・・・。」


祐二のうめき声。

思わず私は彼の傍へ寄る。


「祐二・・・大丈夫?」

「・・・・・・。」


寝ぼけているだけか。


だいたいなんで長谷川さんは祐二を眠らせたりしたんだろう。

やはり祐二の行動を阻止する為だろうか。




・・・・・・とにかくここを出よう。


祐二がこんな状態では話などとても出来ない。

長谷川さんとも話はしたいが・・・長谷川さんの家を知らない私がいきなりここにいるのはやっぱり変に思うかもしれない。


とりあえずはここを出てしばらくしたら長谷川さんに電話をかけてみよう。


私は長谷川さんの家を後にし、自宅に戻ることにする。







「・・・・・・!!」


しかし玄関を出た矢先、長谷川さんは待ち伏せていた。


「・・・やーっぱり橘さんだったか。」

「わかってたんですね。」

「なんとなくね。まぁ念を押してわざと出かけたフリしたんだけど。」

「じゃあ・・・説明するまでもないですね。」

「そうだね。」

「どうして祐二を眠らせたんですか?」

「見ての通り彼の行動を止める為だよ。」

「・・・・・・。祐二の事、何か知ってるみたいですね。」

「僕達の事、だいぶ前からつけてたようだね。」

「ええ。それよりも・・・・・・全部説明してくれますよね?」

「さて、どうしたもんかな。」

「お願いします!私だけわからない事だらけなんてイヤなんです!」

「ふむ。」



私がそういうと長谷川さんは少し考える仕草をして、語りだした。







長谷川さんはこれ以上隠しても仕方ない事だといい、全て語ってくれた。







・・・・・・正直驚く事ばかりだ。

でも長谷川さんも幸恵もがんばってたんだ・・・。


「じゃあ井沢という男を殺したのも、渡辺君を殺したのも・・・・・・。」

「そういう事だね。」

「どうしてなんですか・・・?」

「さぁね。僕にもわからない事はあるよ。」

「そう・・・・・・ですか。」

「とりあえず君の持っているその銃を預からせてもらえるかな?君が持っていても困るだろう。」

「そうですね。」

「よし、とりあえず僕の部屋に戻ろう。いつまでも部屋で眠ってる祐二君を放っておけないしね。」

「はい。」




だいぶ長話になっていたようだ。睡眠薬で眠らせているとはいえ祐二を今一人にしておくのは色々と不安だ。


私達は長谷川さんの家に再び戻る。







「今度は遠慮しないであがって。」

「はい。さっきはすみません・・・。」

「ははは。」


私は長谷川さんの後ろから彼の部屋にあがらせてもらう。


そして・・・・・・彼の執念の深さを改めて知る事になる。


「いない。」

「え?」

「・・・・・・祐二君、いないよ。」

「!!」

「くそ。窓が全開だ。玄関から僕達の様子を覗いていたんだ。僕らがいるから窓から逃げたようだね。」

「祐二。そんなにまで・・・・・・。」

「彼は今、とっさに使える武器はないはず。今すぐに殺人は実行されないはずだ。・・・いやまてよ。もしかしたら・・・!」


そう言うと長谷川さんは部屋の中を色々と調べだした。


「まずいな。僕の包丁がない。」

「ぇえ!?」


包丁がない。

それはつまり安易に使える武器をすぐに調達したという事以外他ならない。


「まさか祐二、その包丁で・・・。」

「わからないが、可能性はそうとう高いな。僕のせいで彼を余計焦らせたのかもしれない。」

「祐二を探しにいきましょう!長谷川さんは祐二が殺そうとしてる人が誰だかわかってるんですよね?」

「・・・・・・そうだね。」





私達はすぐさま長谷川さんの家を出て、再び彼を探す。長谷川さんの後に続いて。

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