第五十九話 潜入
私はあのまま彼らの後を追った。
しばらく歩くとマンションのような場所に着いた。
話や素振りから見てどうやらここは長谷川さんの家のようだ。
彼らはそのまま部屋に入っていく。
長谷川さんは自宅に祐二を連れ込んで何をしようというのだろう。
どうしようか・・・・・・このまま待機していようか。
・・・それしかない。
ここで他の行動をしてせっかく見つけた祐二を再び見失うのは痛い。
私は物陰に隠れながら長谷川さんの家を窺う事にした。
どのくらい時間が経っただろうか。
しばらくして、長谷川さんの家から誰かが出てきた。
私はそれをじっと見つめる。
どうやら長谷川さんだけのようだ。
どういう事・・・・・・。
祐二は部屋に一人で篭っているという事・・・・・・?
しかしその時不用意にも長谷川さんは鍵をかけずに外に出て行ったので、私はチャンスと思いこっそり長谷川さんの部屋に入る事にした。
長谷川さんは近くまで買い物にでも行ったのだろうか・・・?
とにかくどこかへと出かける長谷川さんを尻目にして私は部屋へと向かった。
そっとドアを開けて中を覗き込む。
・・・・・・誰か寝ている?
あれは・・・・・・祐二だ!!
私は中に入り、静かにドアを閉めてカギをかける。
「・・・ゆう・・・じ?」
しかしやはり眠っているようだ。反応はピクリともしない。
よくよく見るとおかしな眠り方をしている。
テーブルにもたれかかったようにぐったりと眠っているからだ。
長谷川さんが眠らせた・・・?
私は眠っている祐二にそっと近づく。
「祐二・・・私よ。祐二。」
やはり反応はない。
どうやら普通に眠っているわけではなく、何かで眠らせられたようだ。
その時不意に彼の持ち物が目につく。
これは・・・・・・。
それは昨日私達を脅した時に使用された拳銃だった。
このまま彼がこれを持っていてもロクな事にならないに違いないと思い、私はそれをそっと抜き取り自分のバッグにしまいこむ。
その時、不意に玄関からガタという音が聞こえた。
どうやら長谷川さんが帰ってきたようだ。
私はあわててどこかに身を隠そうとする。
周囲をすばやく見渡し、とりあえずお風呂場に身を潜めた。
「・・・おかしいな。たしか鍵はかけずに出たはずだと思ったが。」
長谷川さんの独り言が聞こえる。
私はそのままその場で身を潜めつつ彼の行動を見ている事にした。