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第五十一話 時間がない!

・・・朝。


昨日、祐兄と会った事は母には言わなかった。

祐兄に言うなって言われてたし、母さんに言ったとしてもなんの解決にもならないと思ったからだ。


俺は母さんが起きるより少し早くに家を出た。


兄貴は今日、全て話すといってたが・・・正直な話、完全に鵜呑みすることもできない。

その焦りもあったので目が覚めて急いで兄貴の処へ向かった。











兄貴が・・・祐兄が実は本当の兄じゃない。

昨日祐兄はそう言っていた。

母さんにもっと詳しく話しを聞ければよかったが・・・そんな事を問いただしたら母は俺に祐二の居場所を知ってるんじゃないかと勘付かれそうだったのでやめた。


しかし・・・兄貴はやっぱりロクでもない事を企んでた。

実の兄じゃなくても・・・俺にとっては祐兄は本当の兄貴みたいなもんだ。その兄が殺人鬼になるのを黙って見ているわけにいかない。


一体兄貴の・・・俺が知らない兄貴の過去には何があったっていうのだろう。

兄貴に聞いても教えてくれないし、母には・・・聞きづらい。

人を殺さないと収まらない程の・・・強い因縁を持った過去なんだろうか。

そして誰を殺そうというのだろう。



俺は祐兄のいたビルの屋上に向かってひたすら走った。














「祐兄・・・いるんだろー?」


俺は屋上で呼びかけた。


「・・・?祐兄?」


返事がない・・・。

俺はゆっくりと祐兄が住処にしていた場所を覗いた。


・・・・・・・・・!!


「ゆ、祐兄!?」


そこには小奇麗に片付けられた備品と、誰もいないテントだけがたたんずんでいた。


「ち・・・っくしょう!!」


ふと、ひとつのメモ用紙に気がつく。

それはまさしく祐兄の字だとわかった。


「まずい・・・・・・こんなのがあるってことは・・・!」


俺はそのメモを握り締めて走り、来た道を戻る。

あんのバカ兄貴!明日全部話すなんていっておいて、今日いなくなりやがった。

ふざけろ・・・やっと見つけた兄貴が・・・。


くそ・・・くそくそ!

昨日もっと問い詰めればよかった。

昨日もっと詳しい話を聞けばよかった!

昨日何がなんでも一緒に家に帰ればよかった!!


後悔の念が俺を包む。

昨日の俺は何やってたんだ。

ばかやろう・・・せっかくのチャンスだった。昨日のアレが最後のチャンスだったかもしれないっていうのに・・・失敗した!

俺は何をやっても空回りばかりだ!!クソ!!!


また・・・また走って兄貴を探さないと・・・でも今度は前みたいに時間があるわけじゃない。

再びの祐兄の失踪。

これが物語る答えは一つ。

今日というこの日に決行に踏み込んだという事だ。

ならば、前回のようにのんびりしてられない。




なんとしても事を起こす前に祐兄を見つけないとだ。

どこだ・・・どこにいる!?

誰を殺そうとしてるんだ!?

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