第五十話 気持ちのいい朝
きっかけとなる日からすでに六日目の朝。
のんびりしてる暇はなかった。
昨日のあいつらの・・・急な接近ぶりから見て、俺に残された猶予は・・・もうない。
正直心動かされなかったわけじゃない。
迷った。今でも迷ってる。
だがこの手は止まらなかった。
でもあんな態度のまま別れるなんてのは嫌だった。
最後に・・・これだけ残してケリをつけよう。
俺はこれを残して、金輪際もう戻れない事を決意する。
俺は簡潔に書きなぐった。
これをここに残せばあいつらの誰かが・・・これを見つけるだろう。
その時はすでに事は終わった後。
俺はすばやく準備すると、その場を立ち去った。
事を起こすにはなるべく人目につかない場所がいい。
誰かに会ってしまうのも面倒だ。
朝方、人通りの少ない河川敷の道を走った。
走るってのはいい。
息をすることに意識が夢中になれる。
余計な事を考えなくて済む。
これからすることがなんだったかを一時的に忘れられる。
はぁ!なんて気持ちいいんだろう。
朝の澄んだ空気をめいっぱい吸いながら走る河川敷の道は、まるでこの世とは思えない心地よさがあった。
あー・・気持ちいい。
このまま走って行く先が楽しい事だったらもっとよかったんだろうなぁ。
考えるな考えるな。
もうずいぶん考えた。
考えすぎたからもう会わないはずの人間に会ってしまった。
俺は走った。ただ走った。
これで終わりにします。修二、静香、俺を救おうと努力したみんな・・・今までありがとう。
最後に思い返したのは、乱暴に書きなぐったメモだった。
”今回の件は本当に申し訳ない。
しかしもう後には戻れない。
俺は全てに決着をつけて最後、自分で自分に幕をおろそうと思う。
静香、本当にすまなかった。”