第四十五話 脱力感
・・・ダメだった。
結構期待はしていた。あの祐二さんを止める事が出来るのは静香だけだと思ってた。
しかし結果はこれ。
しかも祐二さんの言ってた事に私の想像外の事もある。
”静香とは結婚できない。”
これは常識的に考えれば、自分はもうすでに手を汚してしまっているから君とは結ばれる事はできないと解釈するのが普通なのかもしれない。
でもそれはおかしい・・・そもそも祐二さんが失踪したのは事の発端から結末までを誰にも知られずに解決する為じゃなかったのだろうか?
ということはつまり元の日常に戻れたとしても、祐二さんは静香と結婚する気がないという事だ。・・・いや結婚できない状態であるという事か。
祐二さんの過去に何か起因するものかもしれないだろうが、そこまでは私は知りえなかった。
私達は祐二さんに脅されるがまま、ビルを出た。
静香はしばらく泣き顔のまま独り言のようにぶつぶつと唸っていた。
・・・無理もない。やっとあえた祐二さんからは門前払い扱い。その上結婚できないという言葉・・・。
静香をここに連れてきた事は彼女にとってだいぶマイナスだったかもしれない。しかも祐二さんにとってプラスに動く気配はまるでなかった・・・。
静香はしばらく一人になりたいというので、私はそのまま静香と別れた。
長谷川さんは・・・正直な所、私は長谷川さんがどこまで今回の事を把握しているのかわからなかった。
そもそも長谷川さんと二人で話したかった事というのも、実際彼がどこまでの事を知っているのかを教えてほしかったからだ。
だが・・・長谷川さんは黙したまま、何も語ろうとせず「じゃあね。」と言って去ってしまった。
・・・そういえば、ずっと付きっきりだったハズの修二君がいないのが少し気になる。彼は渡辺君の一件以来、ずっと長谷川さんと一緒だったはず・・・。
昨日もてっきり長谷川さんと二人でいるかどこかに隠れているのだろうと思ったけれど・・・。結局最後まで姿を見ていない。
・・・困ったわ。正直手詰まり。
やはり警察に・・・言うしかないのだろうか?
祐二さんはこのままだとまず間違いなくアレを使って復讐を果たすのだろうけど・・・。
それが終わった時、どうなるのだろう。
祐二さんはそのまま失踪してしまうのだろうか?
それとも元の日常に戻る・・・?その可能性は低そうだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・静香。
私は悩んだ。
私が知るうる全ての事を静香や長谷川さんに話すべきなのか?
だがそれを知ってしまって彼女はどう行動する??
長谷川さんにしても・・・今日の発言から見てどうも祐二さんを庇ってくれているように思える。
なぜ・・・?
今日が初対面のはずなのに・・・。
ああ・・・わからない事ばかり。嫌になってきた。




