腕がもげた
コントみたいな小説です。
勢いのままに書き上げました!一行目から強烈展開です!
患者「やべーATMで100万引き出そうとしたら取り出し口のフタに手挟まってその勢いで腕もげちゃった。すげぇ『スポーン!』っていっちゃった。病院来たけど俺の順番まだかなー。」
医者「次の方どうぞー」
患者「よっしゃ。やっと俺の番だ。」
医者「今日はどうされました?」
患者「さっき銀行のATMのお金下ろそうとしたら急にフタが閉まって手挟んじゃって。そのまま無理矢理引き抜こうとしたら腕が『スポーン!』といっちゃったんですよ。」
医者「では風邪薬出しときまーす。次の方ー」
患者「ちょっと待ってくださいよ。なんでそんな軽く流すんですか?右腕を左腕で持ってるんですよ?大根みたいに。もっと腰抜かしてもいいでしょ。」
医者「取れたのは左右どちらの腕ですか?」
患者「右腕です。利き手なのでマジでキツいんですよ。」
医者「そうですか。それは大変ですねー不便ですねー風邪薬出しときますねー」
患者「なんでですか?なんでですか?もげてるんですよ?服薬じゃどうにもならないって。」
医者「次の方どうぞー」
患者「だからだからだから、この右腕を早く繋げてくださいよ。お箸持てなくなっちゃいますよ。最悪クワマンみたいな持ち方で食べるしかなくなっちゃいますよ。」
医者「あーでは左手用の矯正箸出しておきまーす。」
患者「そういうことじゃないでしょ。つ・な・げ・て・く・さ・い。」
医者「矯正箸というのはですね、主に小さいお子様の為に…」
患者「話を繋げろってことじゃないですよ。僕の、もげた、右腕を、もとの、場所に、繋げて、ください。」
医者「あ、そういうことでしたか。」
患者「そういうことでしょうよ。」
医者「では先程利用されていた銀行のATMの方に向かいましょう。」
患者「なんでですか?」
医者「もう一回フタに挟んで繋げて頂いて。」
患者「ATMに戻せってことじゃなくて、僕の、肩に、繋げてください。」
医者「お客さん…w、そんなことしたら…w、」
(患者の右腕を受け取り、右肩の上に縦に立てる医者)
医者「エヴァンゲリオンみたいになっちゃうw」
患者「繋げようとしてる場所違いますから。なんで肩の上に立てるように繋げちゃうんですか?断面どうしが合わさるように繋げなさいよってこと。」
医者「じゃアロンアルファ出しときまーす。」
患者「瞬間接着剤じゃないですか。それ絶対人に使っちゃいけないやつでしょ。頼みますよ。お医者さんならしっかりやってくださいよ!」
医者「もうならどうすればいいんですか!」
患者「なんでキレてんだよ。お医者さんでしょ。ちゃんと神経とかも繋げて回復させてくださいよ。」
医者「あなたね、私が医者だからってね。なんでもかんでもやってもらえると思ったら大間違いですよ!」
患者「なんでもかんでもやってもらわないといけないくらい大変な事が起きてるだろうが!腕がもげてるんだよ!血が出てるんだよ!見ろよこの赤い道を!銀行からこの病院まで歩いてもなんも嬉しくないレッドカーペットが敷かれてるんだよ!」
医者「次の方どうぞー」
患者「なに急に冷静になってんだよ。」
医者「11名様でお待ちの谷岡さまどうぞー」
患者「レストランかここは。あとなんで病院に11名の団体で来てんだよ。」
医者「この後縫合手術しますんで、一旦待合室でお待ちください。」
患者「もう急いでよ?血液の量ギリギリだからね俺。」
(待合室へと戻る患者)
ー40分後
医者「いらっしゃいませーいらっしゃいませー本日はお足元の悪い中『息の根・瀕死クリニック』にお越しいただき誠にありがとうございます。当クリニックでは患者の皆様に楽しんでいただけるよう、本日はレントゲンと問診の出血大サービスを行っております。さぁさぁさぁこれよりスペシャル大サービス。右腕の縫合手術を急ピッチで行わせて頂きます。それでは次の患者さんは…」
患者「おいおいおいおいおい!」
医者「ちょっと今アナウンス中!」
患者「アナウンス中じゃねぇよ!なんだそのアナウンスは!パチンコ屋かここは!」
医者「こうでもしないと患者さんに楽しんでもらえないんです。」
患者「別に楽しんでもらわなくていいんだよ。元気の出ない病人がいるんだよいっぱい。というかなんだよ『息の根・瀕死クリニック』って。患者殺す気満々じゃねぇか。」
医者「息の根が止まりそうな瀕死の人も来るんです。イメージ通りの名前です。」
患者「誰が来るんだよそんなバイオレンスな名前のクリニックに。あとなんだよ『レントゲンと問診の出血大サービス』って。気に入ったレントゲンが撮れるまで取ってくれるのか?」
医者「限りなく透明度を高くしたレントゲンを撮るんです。」
患者「なんも映んねぇじゃねぇか。台しか映らねぇよ。あと問診の方は何だ?質問が大量にあるのか?」
医者「記者会見みたいな形式で問診を行うんです。」
患者「答えにくいだろ。なんかデリケートなことまで聞かれるだろうが。」
医者「では手術台の方にどうぞ。」
患者「もうさっさとやってくれよ。」
医者「ではまずは麻酔をかけますのでね。こちらの粉末を口に含んで頂いて。」
患者「粉末? 粉薬タイプの麻酔ってこと?」
(小袋の粉末を患者の口に流し込む医者。)
医者「どうですか? 効いてきましたか?」
患者「あーまだなんとなく感覚が…」
医者「ではもう一袋いっときましょう。」
(小袋の粉末を患者の口に流し込む医者。)
患者「あー効いてきた、効いてきた。あー口から効いてってる。どれくらいで腕にも効き始めるの?」
医者「効かないですよ。山椒ですから。」
患者「山椒だよなやっぱり!鰻とかにかけるやつ!ベロにしか効かないじゃねぇか!今すげぇベロ痺れてんだけど!」
医者「あーすいません。断面にかけないと。」
患者「かけるな!かけるな!おい!あぶねぇな!なに患部にスパイスかけようとしてんだよ!拷問じゃねぇか!」
医者「あーすいません。注射の方が良いですよね。」
患者「やめろ!やめろ!やめろ!いよいよ殺しにきてんじゃねぇか!」
医者「では早速縫合していきますねー。」
患者「おいおい急だな!麻酔なしで大丈夫なの?」
医者「まかせてください。僕失敗しませんから。」
患者「本当に頼むぞ。」
医者「では寝転がって頂いて。」
患者「怖ぇーなー」
ー30分後
医者「終わりましたよ。」
患者「うわすげぇ。戻ってる。ん?待て待て待て!」
医者「どうされました。」
患者「なんで肩の上に立てるように繋げちゃってるんだよ!エヴァンゲリオンみたになってんじゃん!」
医者「あーそれでは左腕の方も…」
患者「やめろやめろ!なにエヴァンゲリオンに寄せようとしてるんだよ!お前どうしてくれるんだよこれ!」
医者「あのー手術を終えましたのでお会計の方を…」
患者「は⁉払うわけねぇだろ!大失敗してんじゃねぇかよこれ!」
医者「では警察の方に…」
患者「待て待て待て!警察呼びてぇのはこっちだろ!」
医者「お会計100万円になります。」
患者「急に話を変えんなって!100万もすんの!」
医者「手術はお金がかかるんです。」
患者「そんな100万って急に言われてもさ…」
医者「めっちゃ右手で見せびらかしてんじゃないすか。」
患者「お前のせいでな!100万引き出そうとして腕もげて、変なところに縫合されたから掲げてるみたいになってんだろうが!」
医者「では100万円丁度お預かりします。」
患者「おいおい!俺の100万!転売で稼いだ100万!」
医者「ではこちら領収書になります。」
患者「おいおい右手に掴ませるな!そういうオブジェみたいになってんじゃねぇか!」
医者「もしまた調子が悪いってなった時は、首ネギ巻いてもらえれば治まりますので。」
患者「どうにもならねぇよ?ここにきて今度は民間療法かよ。」
医者「ではこちら処方箋になります。」
患者「へ?薬も出んの?」
医者「一日三回、朝・昼・夕と食後にこちらのアロンアルファをお使いください。」
患者「アロンアルファは薬じゃねぇよ!」
注1)実際にはATMのフタに手が挟まれた程度で腕がもげることは絶対にありません(これはみんな知ってるか…)。
注2)アロンアルファは強力な接着剤です。絶対に皮膚につけたり体内に入れたりしないでください。