悲願
何でも、日本外務省の悲願は国連安全保障理事会の拒否権付き常任理事国入りだと仄聞する。
ソビエト連邦崩壊をその数年前に予見した型破りの著名な国際政治学者の小室直樹(故人)氏は、国際連合の英語名すなわちUnited Nations は「連合国」のことであり、第二次世界大戦後、数年を経て日本はその仲間入りを許されたと指摘していた。
さすれば、敗戦国である日本が第二次世界大戦の戦勝国によって構築された世界秩序に挑戦を挑んでいることになるというのは誰もが容易に理解できることである。
現在、国連安保理の常任理事国は、英、米、仏、中、露であり、中・露が含まれており、悲願実現が如何に険しい道のりであることは論を待たない。
しかしながら、第二次世界大戦直後と現在の世界情勢は大きく異なっており、敗戦国であるドイツや日本の占める役割もまた変化している。インドやブラジルといった急速に成長を遂げている国々もある。
日本外務省は、これらドイツ、インド、ブラジルと協調して4カ国をパッケージとして常任理事国入りを目指すという戦略を取っているようだ。しかしながら、同じ敗戦国であるイタリアはこのパッケージには入っておらず、また、中、露の反発は必至であろう。
いかなる戦略であれ、日本の拒否権付き安保理常任理事国入りが実現した時、日本は敗戦というあらゆる意味で負の遺産に決着をつけることができるのかもしれないと思うのは、筆者だけであろうか?