表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『巴蜀戦記』  作者: 昇龍翁
6/18

第6章

【第六章】

 迎えた成都城攻略。巴蜀州を統べる大城である。いかに須哩といえども、油断はできぬ。

 中央では綿密な計画が検討された。

 まず、駐城部隊の排除。無闇に攻めかかっても返り討ちにあう。そこで、戦闘力を高め切った部隊をまず突入させる。結果如何を問わず、半刻後にその他の殲滅部隊を突入させる。そして、駐城部隊排除を確認した後に、攻城兵器部隊を投入する。

「殲滅部隊用に成都近隣に幕舎を築かせましょう。どのような猛者も傷つきます。それを回復させる幕舎は必要不可欠です。」

「事前に、この三段階の攻撃手法を周知しておくが良かろうかと。儂の方で各部隊へ書状を送ります。」

「うん、その辺の段取りは両指揮官に任せた。」

惹州公が承認・指示する。

 一時、静寂が流れる。そして昇が口を開く。

「殿、今回、全力を尽くしても失敗するかもしれません。諸将にもそれぞれの都合があるでしょう。どれほどの部隊を動員できるか。」

「250も集まってくれたら、なんとかなりそうだね。」

「上様。皆を信じましょう。焦りを捨て、二日、自強の時を設けました。彼らならその力を発揮したくてウズウスしていると思いますよ。」

「そうだね。」


 櫓の上から、渾身の力を持って昇が時を刻む大太鼓を鳴らす。巴蜀全土へ響かんばかりの大音声である。

 成都周辺には、膨大な数の部隊が集結していた。

「どれほどいるか数えようとしましたが、肉眼では数えきれませなんだ。」

と、櫂が言う。

「大丈夫、須哩だよ。みんな笑顔で集まるよ。」

ついに時が来た。

「精鋭殲滅部隊、突撃ぃ!」

昇が叫びながら軍配を振る。駐城部隊がジリジリとその数を減らしていく。

「半刻です。」

昇の従者が告げる。

「殲滅部隊、突撃!諦めるな!傷付いたら無理せず幕舎へ引き、回復に努めよ!あきらめてならぬ。諦めてはならぬぞぉ!」

昇が叫ぶ。

 ややして殲滅部隊が壊滅した。

「早い!」

諸将が驚く。これほど早く駐城部隊が消えるとは。

「よし、時じゃ。攻城兵器部隊。進軍。手を緩めるな。攻め立てよ!」

「申し上げます。物見の報告によれば、参加部隊は、その数300を越えました!」

 中央幕舎に「おおっ」と歓声が満ちる。


 失敗するどころではない。予定時間の半分も使わずに成都城は陥落した。

「おおおおおおお。やったぞぉー」

「さすがじゃ、皆、さすがじゃぁ」

 須哩一同に感動と笑顔が広がる。

「みんな凄いや。自強の二日。みんな頑張ったんだね。更にこの参加数。みんな、須哩が好きなんだ。私はそんなみんなが大好きだぁ。」

惹州侯が目に涙を溜めながらも笑顔で叫ぶ。


【章末】


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ