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世界最強リサイクル ~追い出された英雄達は新世界で『普通の暮らし』を目指したい~  作者: おおいぬ喜翠
第三部 ダンジョン編

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236 新入り情報

 他の対策はまだだが、村のトイレに紙が導入されただけで確かに生活の質が上がった。特にメイは魔女の屋敷のトイレが日常的に使えるようになって凄く喜んでいる。その喜びを見ると今まで申し訳なかったなと思いつつ、皆で引き続き新しいトイレの制作計画を頑張っていた。


「じゃあ、浄化槽や下水の目途は付いたんだな?」

「ああ、最初は金属や木かと思っていたんだがコンクリートでいけるらしい」

「ええ、浄化槽までは穴を掘って下水管で繋いでって感じネ。耐用年数も50年近いそうだから、50年ごとに交換する必要はあるけれど妥当じゃない?」

「そうだね。それだけ期間があれば次の準備も出来るし良いと思う」


 朝食の席に皆が揃い、進捗や相談をしている。


「紙もまあ、ちっと手間は掛かるけど村で用意出来る。材料持ち込めば薬品の方はカーチャンが加工してくれるし」

「そうそう、紙なんだけどさ。今作ってる紙ってちょっと硬いから揉んで使うじゃない? 海上都市の職人さんに聞いてきたんだけど、紙の表面に鉄のローラーとかで凹凸付けたら柔らかくなるんだって」

「嗚呼、良いですね。後は人手が増えれば良いのですが……」


 出来る事が増えて生活は随分と向上したが、それに伴い人手不足が加速している。


「小人の子供達がもう少し育てば手伝ってくれるでしょうけど、それにしてもまだ時間は掛かるわね」

「今居る人数で賄える規模が身の丈に合った文明という所だろう。新人類もまだ先だろうし、無理はせず暫くはこのままやっていくしかないな」

「そうそう、その話をこないだリョウとしたんだよ」


 思い出したようにガンが顔を上げる。リョウも『ああ』と頷いた。


「その話? 人手の事か?」

「そう、人手っていうか――最近“新入り”さん来ないよねって」

「そういえばそうだな!?」

「これまではどの位の頻度で来ていたの?」


 現時点では一番新顔であるジラフとタツとメイが首を傾げる。


「まちまちだな。数週間から数か月といった所だが、ジラフさん達が来てからもう半年近くは経っている。確かにもう来てもおかしくはない」

「今日のお祈りの時におら達で聞いてみようか?」

「確か今後来る時は神からお知らせが来るんじゃろ?」


 朝食後はそれぞれトレーニングやお祈りや、各自の大事な事をまず行っている。ついでなので、お祈り組に神への確認を頼む事にし――昼食時に神からの返答を聞く事になった。



 * * *



 昼食で再び全員が揃う。今日の昼食メニューは大きな肉団子が入ったミートパスタにコンソメスープ、フルーツサラダにチーズとパンだ。早速頂きながら、結果を聞く事にした。メイもタツも微妙な顔をしているので凄く気になる。


「で、どうだったのだ? その表情は大変気になるのだが……?」

「いや、それがのう……」

「もう来るお人は決まっとって、来る予定もあるらしいんだども……」

「何? また厄介ごとじゃないでしょうね!?」


 ベルが『また迷惑パターンか!?』と一瞬で険しい顔になる。


「や、いやいやいや、そうじゃねえ……! えっと、えっと……!」

「メイ殿話す順番が間違っとる! カピ神の坊に重々言われたじゃろ!」

「へぇ、そうだった……!」

「おいタツ早く話した方が良い……! カーチャンがキレる……!」


 ベルの顔がどんどん怖くなっていくので、急かされてタツが慌てて口を開いた。


「儂らも詳細は聞かされてないんじゃけど、ひとまず凶兆的な悪い奴ではないから其処は安心して欲しいというのを、最初に言えとカピ神の坊が言うておったので、まずベル殿はその美しいけど怖いお顔を引っ込めて貰って~!」

「それを最初に言いなさいな!」

「へぇ、申し訳ねえ……!」

「ままま……!」


 メイが巨体を縮ませつつ、隣で和ますようにタツが笑顔を作った。


「ただのう、メイ殿みたいにちょっとそのまま移住するには訳アリらしく~! それでちっと迎え入れの準備だかを手間取っとるちう感じで……」

「ほら! 結局訳アリじゃないの! そういう面倒なら仕方ないし何かあっても手は尽くすけど……! もう!」

「私ベルのそういう所、本当好きですねえ」

「カーチャンは高慢に見えて実はいい奴だからな……」


 プンプン怒るベルとは真逆でカイがにっこりした。ガンもしみじみ頷いて肉団子を頬張っている。

 

「まあそういう訳で、いざ移住になったらちゃんと知らせるし、けど準備でひと月は掛かろうし、それまでトイレでもデートでも存分に謳歌しといて~! との事~!」

「絶対カピ神さんそういう言い方しなかったでしょ……!」

「えっと、えっと、来たら少し忙しくなるかもしれねえから、やりたい作業とか色々があったらこのひと月の内に……みたいな言い方しとったです!」

「忙しいと来たか!」


 何がどう忙しいのかは不明だが、予告があるからには忙しくなるのだろう。


「ふぅむ、ではひと月の内に出来る事はしておくか」

「そうだね。部屋はあるし、日用品やシーツの予備はあるし、お迎え準備は実際来た人を見てからの方が良さそう」

「そうだな。ベッドのサイズとかもあるし」

「そうですねえ。ひとまず女子寮は完成していますから、性別がどちらでも対応は出来ますし……」

 

 メイという例がある為、ベッドなどサイズが絡む事は本人が来てからが良いと皆学んでいた。


「……じゃあ、ええと、メイさん。都合で二週間位先にはなるんですけど、ひと月以内にお出かけデートをしましょう」

「わぁ! 喜んで……!」

「私も都合で二週間位先にはなると思うのですが、ベルも宜しければお出かけデートをしましょう」

「あら、嬉しい! よくってよ!」


 村内で散々デート紛いのいちゃつきはしているのだが、矢張りお出かけとなると話は別だ。女性陣がにっこり微笑み、リョウとカイも照れ照れした。


「ひと月となると、事前に作っておけるパーツは作るとして――下水の着工は新入りさんが来てからの方が良さそうネ? 先に水路と水車の方を作りましょうか」

「そうだな。下水管は海上都市で作って運んで来れば良いが、浄化槽は直に作るだろう。コンクリートの乾燥には時間が掛かるし、浄化槽の攪拌に水車の動力を使うなら、今とは違う水路を引いた方が良いな」


 ケンがジラフの言葉に頷いた。今の村には既に水路や生け簀があるが、水車を設置するとなるといまいち場所が宜しくない。


「じゃあ、下水管と、便器とタンクは作り置きで――後は水路と水車か。紙の作り置きも出来るだけしといた方が良いよな」

「ええ、女子寮に引き続き建設組はそっちに着手だわネッ」

「農業と牧畜組も、何があるか分からんから備えはしておくように!」

「はい、心得ました!」


 それから暫く、次に来る新入りの詳細は分からないまま――何かあった時の準備は心がけつつ出来る事を進め、勿論恋人同士のイチャイチャも欠かさず半月ほどが経った。そしてリョウとカイについに小人達から報せが届く。例の品が完成したと。


 二人はこっそりと職人小人を訪問し、その出来栄えを確認し、満足そうに頷き合った。


「カイさん、ついにこの時が来たよ……!」

「ええ、リョウ。お互い頑張りましょうね……!」

「うん……! ちなみにデート場所はどこにしたの?」

「はい。カピモット神に絶景の候補を聞きましたら、素敵な場所を教えて頂きまして。ベルは花が好きなので、この辺りでは見られない、かつこの時期に満開を迎える綺麗な花見ができる場所ですよ。リョウは?」


 カイが自身に満ちた顔で頷く。顔からしてとても良い場所を見付けたのだろう。


「いいね、いいね……! 僕達はね、新しい場所じゃなくて前に皆で遊びに行った無人島でキャンプするつもりなんだ」

「成る程、リョウとメイが恋人になった思い出の場所ですね」

「えへへ、そうです。海上都市でクルーザーを借りていく予定……!」

「いいですね、いいですね……!」


 互いにいいねをし合い、ぎゅっと口を引き結ぶと再び頷き合った。


「頑張ろう、カイさん……!」

「ええ、頑張りましょう! リョウ……!」


 戦友が如くに拳をぶつけ、大事そうに作って貰ったアクセサリーを抱えて魔女の屋敷を後にした。そして二日後、二人はそれぞれ恋人を伴いデートへと出かけてゆくのである――。

お読み頂きありがとうございます!

次話は明日アップ予定です!

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