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07 約束


 大人しくテーブルについて、お行儀良くお茶を楽しんでるちっちゃな王子様。


 その様子を、ニコニコしながら見守っているマーリエラさん。


 そんなマーリエラさんの素敵な若奥様っぷりに、ニヤニヤしながら見惚れてる、俺。



 こうしていると、幸せ家族の午後のひとときって感じなんだけどな。



「今日はアンチ姉様は?」


 アンチさんは……いつも通りだよ。


 面白そうな依頼が無いかギルドで確認したら、王都内の見回り。



「……」



 ……たぶん気付いてるよ、この子。


 さすがは王子様、ってか勘が良すぎるんですよ、この7歳児は。



 実は、ぶらり旅再開をこっそり計画中なのです。


 正確にはぶらりじゃなくて、ちゃんとした目的がある旅なのですが……



 ---



 先日、久しぶりにマーリエラさんの直属上司さんから連絡がありました。


 正確には、元直属上司、かな。


 今は、巡回司法省エルサニア王都本部の、かなり上の方のお立場に出世されたそうです。


 それはそれとして、連絡っていうか指令の内容。




『召喚者を狙う組織的犯罪への対処』



 数年前から、召喚者が突然行方不明になった、という通報案件が各所で発生。


 巡回司法省や各ギルドの調査によって、


 最近ようやく、関連性のある連続事件と判明。



 被害に遭っているのは、"低職処分"などで各地に散っている在野の召喚者。


 連続事件と確定されるのが遅れたのは、理由あり。



 それぞれの事件現場がやたらと広範囲に散っていたこと。


 共通点は被害者が召喚者であることくらいだったこと。


"低職処分"された召喚者は、身元を隠して暮らしてる場合が多かったこと。


 

 そして重要な点がもうひとつ、


 エルサニア側が非協力的だったため詳しい身元確認などに支障が生じたこと。


 っていうか、それぞれの事件を関連付けることが遅れた一番の要因は、まさにそれ。



 確かに戦争再開でてんやわんやしてて、在野の召喚者なんかに構ってる場合じゃないのかもしれないけどさ、


 どっかの放置神でもあるまいし、やりっぱなしの投げっぱなしは国としてどうなのよ、まったく。




 おっと、脳内で愚痴ってる場合じゃないね。


 目の前にいるちっちゃな王子様、空気読みの能力がエラく高い。


 流石は王宮育ち。



 とにかく、せっかくの午後のお茶のひとときを、


 微妙な空気にしたままではいかんでしょ。


 こんな時こそ、大人の男としての余裕を見せねば。

 


 ーーー



「旅に……出るのですね……」

「僕も……一緒に行きたい、けど……」



 ……やっぱり気付いてたんだ、このちっちゃいのにやたらと出来の良い王子様。


 ホント賢い7歳児ですよ。



 でもダメでしょ、わがまま言っちゃ。


 立派な王子様になるって、約束したよね。



「僕に出来ること、何か無いのですか?」


 ……俺たちが安心して旅を続けられるように、


 ずっと立派な王子様でいてくれること、かな。



 シルメイア王妃様の言うことをよく聞いて、


 ジオサニア王様のお手伝いをしながら、


 この国のみんなと仲良しなままでいてくれれば、


 それだけでいいよ。



「……はいっ」



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