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06 雌伏


 キナ臭いのと胡散臭いのは大嫌いな、コトなかれ主義おっさんこと、俺。


 クーデター怖えぇ、からのアルセリア王都での足踏み生活。


 エルサニアだけではなく周辺諸国が落ち着くまではと静観しての雌伏生活。


 突然の戦火再燃に、今回は大乱になるぞとの予想を裏切られての肩透かし生活。



 そんな感じでなんやかんやと長居しているうちに、はや7年。


 いつの間にやらアルセリア王都での借家暮らしもすっかり板に付いております。


 ご近所さんからは、歳下でしっかり者のお嫁さんと歳の離れた可愛らしい妹さんと暮らす、のんきな冒険者のおじさんというアレな評価ですが。




 はい、マーリエラさんとは名実ともにおしどり夫婦です。


 お互いを想い合っているのなら、謎の固有スキルだの監視だの、そんなのは些細なこと。


 いいじゃない、歳の差なんて。



 で、歳の離れた妹の方ですが、


 実は"乙女モード"への変化も完璧にイケちゃうようになったアンチさん。


 歳の頃なら10代半ばの、そりゃあもう可愛らしい娘さんですよ。



 俺とマーリエラさんのルックスをいい感じにミックスしたような容姿に変化しておりますので、


 あれほどまでに可愛らしいのも当然ですな。



 俺成分を抜けばもっと可愛くなる、


 うん、ごもっともですけど、それだとマーリエラさんのクローンになっちゃうでしょ。




 まあ、それはそれとして、


 そんな感じのアルセリア王都3人暮らしですが、


 実は、ここを離れ難い理由がもうひとつ、


 それは……



「ノアル殿、今日もよろしくお願いします」



 ---



 俺をノアル殿呼ばわりする、この困った7歳児。


 実は、アルセリア王国のゼルサニア王子様。


 えーと、訳あって懐かれちゃいまして……



 でも、いかにアットホームが売りの小国とはいえ、


 一国の王子が護衛も付けずに王都城下街をうろちょろするのはいかがなものかと。


 ってか、どうしてひょいひょいうちに来れちゃうのかな。



「もしや今日は、ギルド任務はお休みして、マーリエラ先生とのお勉強の日でしょうか」


 なんでそんなに嬉しそうなの、このちっちゃな王子様。



 ってかダメでしょ、ひとりで来ちゃ。


 うちに来るのは構わ……なくはないけど、


 せめて護衛は連れて来なさい。



「申し訳ありません、母様の宿題は全て終わらせることが出来たゆえ、矢も盾もたまらず……」


 いや、こうしょっちゅう来られると、こっちもたまらんのですが。



 まあ、ここまで来てくれた7歳児をほっぽり出すわけにもいかんし。


 とりあえず、うちに上がってお茶でも飲んだら寄り道しないで帰るんだよ。



「かたじけない……」



 なんか会うたびに言葉使いが妙ちくりんになってるけど、


 俺のせいじゃないよね、これ……



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