05 疑念
何だか長々と語っちゃいましたが、つまりは現在、戦争中。
実は、両国は長い歴史の中、こんな感じで停戦と再戦のループを繰り返してきたそうです。
この世界の人たちには、これが当たり前のことになってしまうほどに。
でもさ、この戦争って、なんて言うか、変だよね。
あっちの世界の歴史で学んできた、普通の戦争っぽく無いっていうか。
普通の戦争って何だよ、って言われたら困るけど……
ということで、マーリエラさんたちに疑問をぶつけてみました。
以下は違和感を感じた点と、それについてのこの世界の人たちの考えと、俺なりに思ったこと。
一番の疑問は、大国同士の威信を懸けた戦争なのに戦場がジオーネ周辺限定なのは何故か。
答えは、大国同士だから。
ここは、剣と魔法の異世界。
この異世界では、ツワモノと一般人の戦闘力の差がハンパ無くデカいことは、既にご存知の通り。
そもそも軍隊ってのは、兵士、つまり大量に育成された高い戦闘力を持つ集団。
異世界ブーストされた兵士が大挙して攻めてくるってことは、ヒャッハー冒険者が徒党を組んだどころじゃ無いヤバさ。
そして、大量殺戮兵器として魔法を使う危険性も、この世界の人たちはとっくに学習済み。
つまり、両国の保有する戦力は、すでに互いの国を蹂躙し尽くすには充分過ぎるってこと。
そっちがリミッター外すなら覚悟しろよ、こっちが本気でやり返したらどうなるか、分かってんだろ。
そういうわけで、長年に亘り小競り合いな陣取り合戦が繰り返されてきたそうですが、
そんな中、いつの間にか確立したスタイルが、
大部隊同士の殲滅戦な衝突では無く、
お互いの国の剛の者や先鋭部隊によるチカラ比べ的な限定的ぶつかり合い。
あっちの世界の、"やあやあ我こそは"な一騎討ちスタイルに近い形態に落ち着いたってことですかね。
で、ギャラリーが確実に勝敗を確認出来るよう、
国境線のあちこちでは無くジオーネ近辺に戦場を限定した、と。
なるほど、納得。
いや、納得していいのかな、これ。
まだまだ疑念てんこ盛りですよ。
様式美なんて言ったら不謹慎だけど、そうまでして長年戦争を続けていた理由が"大国の威信"だけなんておかしいでしょ。
それに、停戦前の旅暮らしで感じていた、戦争当事国っぽくない国内の雰囲気。
戦争慣れにも程がある。
そもそも、今回のライクァ王の宣戦布告は身内を失った激しい怒りが発端。
富国強兵の強兵しまくって今回こそ決着を付ける絶好の機会だったのに、
いつの間にやら以前と同じ限定戦を繰り返してるし。
いくら何でも、おかしい。
戦争自体も、取り巻く社会状況も、
まるで戦争状態を故意に長引かせられているような……
俺の考えすぎですかね。