25 めでたし
あれからいろいろありました。
例のおふたりさんは、仲睦まじく同居中。
同棲だろ、なんてヤボなこと言うヤツは、
お馬さんモードのアンチさんに蹴られて痛い目見ればいいよ。
世話焼き大好きなこの町の人たちも、あれだけ初々しいカップルには流石に気遣い充分。
お若いふたりの静かな生活を乱さぬよう、そっと見守ってくれております。
ケイトさんは、町の便利屋さんとして頑張っております。
何でもこなせる『そこそこ』能力を遺憾無く発揮。
素直で可愛い男の子が町のためにと頑張ってくれているし、
ひとり暮らしがちょっと心配だったサラミさんも最近楽しそう。
ということで、町の人たちもひと安心。
町長さんが出来た人なんですよ。
ケイトさんがこの町で問題無く暮らせるよう、
かなり無理して身分証まで用意してくれたり。
町民が平穏でいられるよう骨を折るのが町長の務め、ですって。
旅暮らしでいろんなところを見てきたけど、
上に立つ人次第で住人の幸福度はここまで違うんですね。
まあ、所詮旅人目線なのかもしれませんが。
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「本当に、ありがとうございました」
いえいえ、こちらこそ。
サラミさんにはうちの子たちがお世話になりっぱなしで。
でも、スーちゃんを連れて行って、本当に大丈夫?
「はい、ケイト君が『守護結界』を教わったし、私も皆さんからいろいろと教わったし」
「もうふたりでも大丈夫です」
「もちろんスーちゃんとお別れするのは寂しいけど……」
大丈夫だよね、すぐにふたり暮らしじゃなくなっちゃいそうだし。
つねりっ
イテェ、
酷いよ、マーリエラさんっ、
お別れの場でそういうのはやめてっ。
「ごめんなさいね、サラミさん、ケイトさん」
「この人、昔からこうなんですよ」
「寂しいとすぐ泣いちゃうから、こういう場では茶化してばかりで……」
ちょっと、今そういうこと言っちゃうのっ。
ってか、泣いてないしっ。
『アレが歳上夫婦の熟練イチャイチャだよ』
『参考になるよね、サラミさんっ』
「はい、とても勉強になります」
もうそれでいいですよぅ……




