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22 ヒット


 そんなある日、ついに引っかかりましたよ、獲物が。


 いや、魔うさぎじゃなくて。



 ---



 朝、宿でイチャイチャ、ではなく、まったり朝食してる俺たちの前に、


 大慌てで駆けつけてきたアンチさん。



 どうやら、乙女モードなのにお馬さんモード並みのスピードで駆けてきたようです。



『スーちゃんの結界にひとり引っかかってたのっ』

『ふたりとも、イチャイチャしてないで早く来て!』


 だからイチャイチャしてませんってば。



『いいからっ、早く!』



 ---



 町の中でお馬さんモードに変化するわけにはいかず、


 つまりはアンチさんに乗せてもらうわけにもいかず。



 もどかしそうに振り返りながら先行してるアンチさんと、


 心配そうに振り返りながら先行してるマーリエラさんを追っかけて、


 俺なりの全速力でサラミさんのお宅へ。




 分体スライムのスーちゃんの『睡眠結界』は充分に信頼できるレベル。


 ただし『念話』の方は残念ながら出力不足。


 なので、俺たちが町に滞在してる間は、連絡係としてアンチさんがサラミさん宅にお泊まりしているのです。



 で、いざ事が起きるとこうなるのは当然なわけで。


 つまりは、サラミさんのお宅に着いた頃には、バテバテのおっさん一丁上がり。



 ---



「こっちだよっ、菜園の端っこの方」


 ふむ、狙いどおりですな。


 家庭菜園を荒らされないよう、スーちゃんが結界の範囲をここまで広げていたのは大正解。



 堆肥作りのために積んでいた葉っぱやら何やらの山に埋もれるようにして、倒れてる男がひとり。


 おっと、そういえばサラミさんは?



『みんな揃うまでは家の中で待機してもらってる』

『まずは、知ってる顔かどうか、サラミさんに確認してもらったほうがいいよね?』


 そうだね、全員揃って準備万端だし、


 こうして無力化出来てるうちに確認してもらった方がいいね。



『スーちゃんに『念話』したから、すぐに来るよ』

『私の広範囲『探査』ではこの人ひとりだけみたいだけど、おじさまも確認してっ』



 念のため調べたけど、俺の広範囲『鑑定』にも敵影は無し。


 男は……見たことある格好だね、これ。


 確か、エルサニア軍の標準型支給服。



 一般に普及している標準型冒険者服とよく似ているけど、


 襟元にある階級認識用のワッペンが識別のポイント。



 って、剥がした跡しか残ってないね。


 払い下げを着た一般人か、それとも、脱走兵なのか。


 まさか正規軍が裏で動いてるってことはないと思うけど……




『どうしたのっ、サラミさんっ』



「…………」




 突然聞こえてきたのは、アンチさんの心配そうに呼びかける声。


 振り返るとそこには、声も出せずに固まっているサラミさん!



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