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16 頑な


 サラミさんのお宅の居間で、お茶をごちそうになりながらお話しを伺っております。



 サラミさんは、戦争再開後に召喚された勇者候補。


 今は、戦争に役立つ人材かどうかの判定がかなり迅速になっているそうで、


 俺みたいによっぽどわけ分からん能力でない限りは、


"下職制度"や"低職処分"を望めば、すぐに旅立てるようです。



 例によって固有スキル差別を経験してきたサラミさん。


 この異世界の地でひとり生きることを決意し、迷うこと無く"低職処分"を選択。



 お若いお嬢さんですが、すでに覚悟完了状態。


 俺みたいなおっさんのアレな土下座姿にも動じない、メンタルの強いお人なのです。


 まあ、そうでもなければこの異世界で女ひとり旅なんて続けられなかったでしょう。



 そしてこの町にたどり着き、いろいろあって定住を決意。


 このやたらとセキュリティガチガチな家は、ひとり旅していたサラミさんを心配してくれた町の人たちからの贈り物だそうです。




 以前この家に住んでいた凄い魔導具技師が改装しまくった末に出来た、シェルターちっく一軒家。


 あまり町の人たちと交流の無かったその魔導具技師が突然町を去ることになった際、


 町長さんに、この家の凄いセキュリティシステムの全てを教えてくれたそうです。



『訳あって町の人たちに不義理しながら暮らしてきたが、これからはこの家を必要としてくれる人のために役立ててほしい』



 そして、縁あってサラミさんが暮らすことに。




 あー、やっぱりマズいよね、


 そういう経緯で住んでいる家の扉を、あのままにしておくのは。


 応急修理でとりあえず鍵穴周りの大穴は塞いだけど、


 このままでは、玄関の扉がセキュリティホール状態。


 やっぱり修繕用のレア素材集めの旅を……




「私、この町を離れる気はありませんから」

「ご用件はそれだけでしたら、もう放っておいてもらえませんか」



 あらら、取り付く島も無し。


 本当に頑固さんですね、サラミさん。



 外見の方は、三つ編み・おさげ・眼鏡の三種の神器を標準装備な、


 どっからどう見ても図書委員ってな感じのおとなしそうな娘さんなのですが。


 アレですかね、環境が人を変えちゃった、みたいな……



「……何か?」


 いえ、何も。



「確かに私は"低職処分"されるような弱小召喚者ですけど、自分の身を守るすべは心得てます」

「町の人たちも、この家ならひとり暮らしでも大丈夫だって……」


 えーと、扉……



「あの扉って、ゲレルダ大いのししの全力の突進にもびくともしないはずなんですけど……」


 ってことは、うちのアンチさんはゲレルダ大いのしし以上の暴れん坊……



 つねりっ



 って、痛いよアンチさんっ、


 こんなとこでツネツネ禁止!



「あら、どんなところでならよろしいのですか、ノアルさん」


 ちょっと、マーリエラさんまで。


 駄目ですよ、今は乙女のピンチを救うための大事なお話し中ですって。




「こんなとこで悪うございました、イチャイチャするなら他所でやってもらえませんっ」



 重ね重ね、申し訳ございません……



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