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10 対応


 巡回司法省とは、この世界でほぼ唯一の、まともに機能している警察組織。


 国の枠組みに捉われない活動を許されている超国家的組織とはいえ、


 基本的には活動している国の法を遵守している。



 そして、巡回司法省としての揺るぎない基本理念は"公正な正義執行"


 いざという時は国と闘うことも辞さない覚悟を持ったマジな人たちが集まった組織。


 実力重視な気風であるため、現場上がりの個性豊かな上司たちが衝突することも多々あるのだとか。




「今回の件への対応で、省内が揺れております」



『巻き込まれているのが戦力にならぬと放置される程度の"低職"召喚者なら、組織として対応する優先順位はもっと低くても良いのではないか』

『この件よりも優先度の高い案件に、より力を注ぐべき』



『いや、召喚者としての能力の重要性が問題なのでは無く、組織犯罪が動いている案件だということこそ考慮されるべき』

『そもそも、庇護対象を個々の重要性で選別するのは"公正"では無い』



「度重なる議論の末、各司法官の自主性を尊重するという方針となり、この任務は志願制となりました」

「相談も無く任務に志願したこと、おふたりにおわびしなくては……」



 ちょっと、何ですか、マーリエラさん。


"何があっても一蓮托生"はあなたが言い出しっぺですよ。


 俺は、司法省がどうとか召喚者がこうとか、正直そんなのはどうでもいいんです。


 マーリエラさんがやりたいことがあるなら一緒にやりたいってだけですから。


 えーと、動機が不純だからって、後でお仕置きとかしないでくださいね。



『私も、難しいことはどうでもいいかな』

『みんなでワルモノ退治に行きたいってだけだし』

『でも、実は襲われた側の召喚者たちの方がワルモノでした、なんてオチじゃないよね』

『ややこしいことになっちゃったら、おじさまに全部丸投げしちゃうから』




「皆さん……ありがとうございます……」



 まあ、あまり気負わずに、いつも通りのぶらり旅気分で行きましょうよ。


 今までだって、どんな厄介な問題のアドリブ対応も、ノリで乗り切ってきたし。



 それじゃ、お出かけ準備が完了次第、『コレクショニア』再出発!



 ---



 あー、大変でしたよ、お出かけ準備。


 7年って、結構長いよね、ひとつところに住んでる期間としては。



 ご近所さんや馴染みの商店街の皆さんへの挨拶回り。


 大家さんとの手続きやら、ギルド関連の手続き以外のアレコレやら。




 そして、ちっちゃな王子様とのお別れ会。


 是非アルセリア王城で、とのことで緊張しながらお呼ばれされたけど、


 王城前広場を一望出来るバルコニーでのお別れ会は、


 手作り感いっぱいのお食事会でした。



 王妃様手作りの、心のこもったお料理の数々と、


 私服でニコニコパパさんモードな王様。


 ホント、アットホームだよ、この国。



 マーリエラさんの前では涙を見せまいと、しっかり男の子してる王子様。


 うん、凄くカッコいいよ。



 でも、大丈夫。


 あんなにもらぶらぶなご夫妻なら、


 すぐに家族が増えて、弟や妹のお世話でてんてこまい間違い無し。



 この国の、ちょっと心配になるくらいのんびりした平和を守れるよう、


 頑張れ、ちっちゃな王子様。



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