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additional time  作者: エルキングダム
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「、、、渡会君。起きてください、、、。」

遠くで松永さんが名前を呼ぶ声が聞こえた。

「渡会君。新入生歓迎会終わりましたよ?」

「あー、終わったのか。松永さん、起こしてくれてありがとう。」

松永さんは起きた俺を見て、ホッとした表情を浮かべながら席を立った。

「渡会君。少し、、寝すぎです。」

俺は席を立ち周りを見渡すと、ホールにはほとんど生徒は残っておらず残っていたのは後片付けをしていた生徒会役員と思われる生徒たちのみだった。

「松永さん。起きるまで待っててくれたんだ。申し訳ない!」

「私は、、全然、、大丈夫です。むしろ、、良かったです。」

「えっと、何て?」

「なんでもないです!!」

俺はあまり聞き取れなかったが、松永さんは恥ずかしそうに顔を赤くしながら、早く行きましょうと俺の肩を叩いてきた。

 ホールを出ると出口のすぐそばで生徒会長の楓馬が教員と話をしていた。

「さっき壇上で話をしていた人ですね。やっぱり近くで見るとおっきいですね。って渡会君聞いてますか、、?」

「ん?ごめんごめん。185㎝もあれば平均身長よりもはるかに高いし、なかなかそんなに大きい人もいないもんな。」

「そういえば、渡会君も大きいですよね。身長はどのくらいあるんですか?」

「俺は183㎝だな。」

「びっくりです!渡会君も大きいですね!じゃあ私とは30㎝以上も差がありますね。」

そう言うと松永さんは背伸びをして腕を伸ばしてきた。

「私が精一杯手を伸ばしてようやく渡会君の頭ぐらいですね。」

松永さんは思い切り背伸びをしながら腕を伸ばしていたからか、バランスを崩し後ろへ倒れそうになっていたため俺はとっさに松永さんの肩に手をまわし松永さんを支えた。

「あの、、、ありがとう、、ございます。」

「怪我無さそうでよかった。」

松永さんは近くで見ると、目は大きくまつげが長くて、肌は透き通るように白かった。とても整っている顔立ちだと思った。

「渡会君、、。そろそろ、、腕、、。」

「ああ、ごめん。」

俺は松永さんの肩に回していた腕を急いで戻した。

「教室戻ろっか。」

「、、、はい。」

行きとは違い、帰りはとても早く感じた。


 「渡会と松永ようやく戻ってきたなー。」

俺たちが教室へ戻った時にはもう全員が戻っていて何やらクラスは騒がしかった。

「お前たち、帰ってくるのが遅かったから委員会決め始めてたぞ。残っているのは、、黒板で確認してくれ。」

樺沢先生の言う通り黒板を確認すると残っているのは図書委員のみだった。

「おい。もう全然残ってないな。」

「、、ほんとですね。」

「俺を待ってたせいでごめんな。」

「わたしは、、全然いいです。図書委員。」

俺は黒板の図書委員の欄に自分の名前と松永さんの名前を書いた。

「よーし。委員会決まったみたいだな!じゃあ今日は午前中で学校は終わりだから帰って良いぞー。部活動見学も自由にしてくれ。くれぐれも迷惑のかけないように!では、さようなら!」

そう言うと樺沢先生は教室を後にし、生徒たちも次々と教室を出ていった。

俺も帰ろうとしていると松永さんから声をかけられた。

「渡会君は、、このあと何か予定、、ありますか?」

「俺は特にないけど。」

「じゃあ、、一緒に帰りませんか、、、?」

「いいけど、松永さんは電車?」

「電車です。」

「じゃあ、一緒に帰ろうか。」

松永さんは嬉しそうに返事をすると帰り支度を始めた。

 歩きながら話しているとどうやら松永さんの最寄り駅は俺の最寄り駅の一駅手前だということが分かった。

「渡会君は、なんでこの学校に進学しようと思ったのですか?」

「俺は、、まあ、なんとなくかな。」

「なんとなく、ですか。なんとなくでこの学校に入れたんですか、、。まさか、渡会君は天才タイプですか?」

「いや。全然そんなことなくて。偏差値も高かったし入れたらラッキーくらいな感覚で受験したんだよ。」

はぁ、とため息をつくと松永さんは私の努力は何だったんだとつぶやきながら俯いた。

「勉強でわからないことがあったら頼りにしていますからね?渡会君。」

「俺に教えられることであったら力貸しますよ。」

松永さんは「約束です。」となぜか嬉しそうに言い俺の隣を歩いていた。

 「では、私はこの駅なので。」

「ん。また明日な。」

「はい!、、また明日。」

松永さんは挨拶をすると電車を降りた。

俺はポケットにあるイヤホンを取り出すと一緒に何やらメモ用紙が落ちた。

見慣れない可愛いウサギのキャラクターが書いてあるメモ用紙には、SNSのIDが書いてあった。

俺はアプリでIDを検索すると「misato」というユーザーが表示された。

「misatoってことは、松永さんってことだよな、、?」

俺は恐る恐る追加し、「松永さんですか?」とメッセージを送ると、最寄り駅についたためイヤホンを耳に当て家まで歩きだした。

アプリには連絡を取れる人は数人登録されているのみだったため、一人増えただけでなんだか心が騒がしくなった気がした。

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