第43話 魅惑の食感
「楽しみですね! 初めて行くお店なので何が食べられるでしょうか?? 」
テンさんは、ザイさんを見て楽しそうに笑っている。
「いや、旨い店ではあるでしょうが…。
俺達の話、聞いてなかったんですか?? 人目が気にならないのなら楽しめると思いますよ。俺は、堅苦しい店が苦手なのでいくら味が旨くても御免ですけどね。」
ザイさんは、顔をしかめて不服そうに答える。
「でも、美味しいのでしょう?? なら問題無いじゃないですか?? 私にとっては時間をどこで過ごすかは重要ではないのですよ。誰と過ごすかが大事だと思うんです。 大切にしたい友人と共に過ごして笑いあえることが楽しいんですよ。 」
テンさんは、時雨達女性陣をぐるりと見渡すと微笑んだ。イケメンの微笑み破壊力凄いな、エルザやカレンさんだけではなくスーザさんまで顔が赤くなってるよ。
「いやはや、顔だけじゃなく心意気までいい男だねえ。エルザ、身をかためるならば誠実なのがいいよ?? 覚えておくと良い。」
「ん…。 覚えとくよ。」
エルザと華は手を振りながら、幸灯達と町を巡るので途中で別れたがいよいよ、『ガーラの泉』に着いた。趣のある重厚な扉を開けると、店内は華やかな花柄の壁で結婚式の披露宴や親族の顔合わせ等で使いそうな店だった。こりゃあ、緊張するのわかるよ。どちらかと言うと苦手だなあ。
女性陣は、別の意見のようで心なしかウキウキしている様子で、席につきながらもニコニコしている。
「こういった造りが流行っているのでしょうね。少し、あの時代を感じて、ノスタルジックというか懐かしい感じがするのですが時雨さんもわかるでしょうか?? 」
テンさんが、ぼそっと言う。わかるよ!! 何か純喫茶と披露宴会場足した感じ。何とも言えない暖色のシャンデリアが古いんだか新しいんだか。
メニューを見るとオススメと書いてあるティーセットがあったのでそれにした。
出てきたのは紅茶とマドレーヌのような焼き菓子とクッキーだった。
さっそく、口に頬張るがどちらも不必要に甘すぎた。クッキーはもはや石のように固いしマドレーヌもどきはカチカチだ。
見た目が似ているだけに残念だった。
『固くないですか?? テンの所で食べたのとは別物ですね。』
頭の中にレツさんの声が響く。
『顔に出さないようにしてください。こちらでは普通なのでしょう。時雨さんも顔に出てますよ?? 』




