第4話 良くも悪くも
一夜開けて、カーテンの隙間から一筋の光が差し込んでくる。隣のベッドでは、規則正しい寝息が聞こえてくる。
一度、目が覚めてしまえば起きてしまったほうが得だ。
布団からもそもそと起き上がりリビングへ行くと、身仕度をして洗濯機を回してから朝食準備を始めた。残りの味噌汁とご飯におかずのウインナーとサラダ、残り物の煮物をよそい準備万端。たくあんも出しとこ。
「おーい。朝御飯出来たから食べよー。起きてたら、降りといでー!!」
いつもの朝の一声。子供達の起き出す音がゴトリと聞こえる。
「今何時ー?」
娘の声が2階から聞こえてくる。
「6時半ー。」
答える声に反応したのか、夫婦の寝室と息子の部屋からも
本格的にガタガタと起き出す音が聞こえ始めた。
階段を降りる声と共に寝ぼけ顔達が現れた。
「美味しい匂いがする!!」
嬉しそうに息子は話し出したが、昨日の残りがメインのご飯だからね。普通の。
皆、席に着いたので旦那が子供達に昨日のテンさんとレツさんの話、ウニとイリの話も簡単に説明していた。
子供達は案外平気そうにしてるようだ。
私は、地味にショックだったんだけど若いからか順応性があるようだ。
「じゃあ、今日はどうする?出かける?買い物??」
とウキウキした声だ。
「まずは、基礎知識いれていかないと買い物は無理。ここでお金も稼がないといけないし、君らも勉強しないとダメでしょ。まずは、ウニとイリに聞こう。俺らより詳しくわかるだろうし。」
「つまんないー!!」
「ウーとイーに会えるのは嬉しいけど、出掛けたいー。何かいつもと同じで何かやだー!!!」
良くも悪くも、変わらない平穏な空気に不安な気持ちが少し和らいだ。
別の世界だろうが、家族元気でそろってご飯も食べれて、これ以上贅沢言ったらバチ当たるなーとぼんやり考えていると、インターホンが鳴った。