第38話 いざ、行かん
晴天、暑すぎず寒すぎず丁度いい天気。
佐東家一同とテンさん、レツさんも一緒だ。
「いい天気ですね。それでは、嫌な事ははやく済ませて遊びましょう!! 今日は、不足の事態を避けるためレツにも参加して貰います。なので、カレンさんとのランチも飛び入り参加ですので!! 」
テンさんの声が響く。
「あれ?? そう言えばウニとイリの姿がないですが大丈夫なんですか?? 」
楽しいことが大好きな2人がいないと何となく寂しい。
「あの2人はお留守番ですよ。理由はこれ!!」
あれは、あの時の人間の姿に変える魔具。なりたい姿にはなれないんだよね?? 地味にする事とかも無理で人間ならばこんな姿だよと変えるだけって言う厄介な魔具。最初は、便利だと思ったけど、2人が必要以上にイケメンで悪目立ちしてしまった恐怖の魔具。
「何で持ってきたんですか?? 」
ここに持って来たら変身出来ないから、まさかお仕置きじゃないよね??
「ドーウさんが、調節可能にしてくれそうなんですよ。鍛冶神に治して貰おうと思いましたが微調整はドーウさんの方が上手く出来るだろうとの事。なので、おまかせする事にしたんですよ。」
地味に出来るならその方がいい。世の中の乙女達の為にも絶対に!!
「それなら、まずはタッカさんの村へ移動するんですね?? 」
「そうですよ。ドーウさんに魔具を預けたあとに、スーザさんとエルザさんとタッカさんも連れて行かないと行けませんし。忙しいですよ!! 」
忙しいと言う割には、心なしかテンさんのテンションがおかしい。
テンさんまで、悪目立ちする事だけは勘弁して欲しいなぁ……。一昨日は店の商品壊してしまったから、弁償するために金貨をかき集めてきた。
主に、換金してくれたのはレツさんなんだけどね。お古で申し訳ないけど子供達が小さい時に使っていた玩具やベビーグッズ。それと、新しい哺乳瓶やミルク、オムツ等々。どれも喜んでくれて、大切に使うと優しすぎる言葉も貰った。
プレゼントと一緒に渡したのだが、多すぎる程貰ってしまったので返したいと思いテンさんにも相談したが、『貰っておきなさい。今までの善行のご褒美も兼ねているから。本来、少なすぎるぐらいなんですよ。』と突っぱねられてしまった。
貰わないわけにもいけないので、多すぎるものはカレンさんの店の弁償に充てることにしたのだ。
「テンさん、これで弁償足りるでしょうか?? 思い入れのある商品もあったかもしれないですし、許して貰えるでしょうか?? 」
只でさえ、嫌われていると言うか警戒されているのに駄目押しで強制的に改装までして商品も壊して、言えば言うだけ申し訳なくて仕方がない。
テンさんも、少し強引だったかもしれないけど、テンさんは創造神様だから自由でも仕方がない所もあるんだよね……。日本の神話に出てくる神様も自由奔放なところがあるから……。
つい、余計なことまで考えてしまう……。
悪い癖だな本当に……。
「大丈夫だと思います。逆に感謝されるかもしれませんよ?? 」
意味がわからない。店の商品壊されて感謝するかな??
「多分、カレンさんに会えば理由はわかると思います。大幅に誤解があった様ですしね。時雨さんが彼女に会った時に、おそらく強く甘い花の香りがしていたでしょう?? 」
むせるような甘い香り。香水要らずでいいなって思ったんだよなぁ。美女だし。
「確かに、甘い香りがしていましたよ。香水かな?? いいなーって思ったので良くおぼえています。」
テンさんは、急に真顔になり真剣に言った。
「それは、絶対に彼女の前で言ってはいけませんよ。約束して下さい。あの香りはけして羨むものではありません。理由は後で彼女から話してくれると思うのでわかると思いますから。」
何かしら、理由があるのだろう。うっかりして言わないようにしないといけないと強く思った。
「魔方陣の所へ急ぎましょう!! おしゃべりしていたら少し時間が遅くなってしまいました。ドワーフの皆さんは優しいですが、約束事には厳しいですからね!! 」
はやくはやくと急かされて、皆も小走りになった。
「皆さん、準備は良いですか?? 移動しますよ!! 調査の後はそれぞれの楽しいことが待っています!! 」
楽しい時間を思うと、佐東家の皆、多分ワクワクしていた。ついつい、掛け声が揃った!!
「「「「いざ!! ドワーフの村へ!! 」」」」




