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第29話 精霊の木

暑さがほんのすこーし、やわらいできましたね。少し前までは蛙の鳴き声が聞こえていたのに、今では鈴虫の声が聞こえてくるようになりました。

食べ物が美味しくなる季節なので、今度こそ運動を適度にしようと思っています(笑)

皆様、良い秋をすごしましょうー♪

『カレン』に近づくにつれ、噂話が耳に入って来る。

店に大穴が空いた話、魔導師の一団が店に入ってきた話、ドワーフが襲撃してきた話等々、本当の事もあればあり得ない話も溢れでる。

いつの時代も好奇心は抑えられる物ではないのがわかる。

それにしても、最後に聞いたドワーフ襲撃等は論外だ。店主カレンの友人がドワーフなのにあるわけがない!! 根も葉もない噂とは怖いものだ。

ザイは、ギルドマスターの伝言を急ぎ伝えるため小走りで帰ることにした。店の周りが人で溢れているので中々前に進めない。いつもは、こんなことはないのだが……。

「何かあったのか?? 」

近くにいた女性に聞いてみると、店の中の木々が突如動き出し、あっという間に大穴を塞いだのだという。店主が客を一度外へ避難させている。今は、店内が、安全か確認に行っている所だそうだ。

「すまない! 退いてくれ!! 」

人混みを掻き分け声を張り上げる。店の様子もいち早く知りたい!! 『押すんじゃねえ!!』等の罵声も浴びるがかまうものか!! そのまま詫びの言葉を叫び続け前へ体をねじ込む。しかし、気持ちばかり焦り前へ進まない。

カレンの不安げな表情が頭の中に浮かんで来る。他人から見れば気難しく機嫌の悪い表情に見えるのだが、不安になればなるほどに眉間のシワが濃くなってしまうので誤解をうけやすいのだ。美形ゆえに迫力もあるので、気付いてもらえないことも多い。

不器用な彼女に頼られたいし、側で守りたい。一方通行で身勝手な親切の押し売りだろうと一秒でも時間がおしい。

店の入り口がようやく見えてくる。

以前より一周り大きな木々が四角を支え、細身の木々が壁面を支えている。以前よりしっかりとした印象を受ける。見覚えのある従業員達が客の対応に追われている。

ここは、遠くの村から何週間もかけて買い付けにくる商人達も多い店だ。旅の疲労で心の狭くなっている奴もいるだろう。

ザイは周囲の人だかりを解決させる為、2時間後に店を再開すると伝えその間、他の商隊のテントを見るように促した。これで混雑は少しずつ緩和されるだろう。これでやっと店内に入れるようになる。

「ザイ様、ありがとうございます!! お客様もピリピリしていて怖いし、どうなることかと思いましたよ。」

困り顔で、皆笑っていた。カレンは店内に入ったきりのようだ。

「では、俺が話をしてこよう。伝えることもあるしついでだからな。」

取急ぎ様子を知りたくてつい足早になる。

「ザイ様、素直で頼れる御方だねえ。店主共々、自覚が無いことが残念だが……。」

ザイの後ろ姿を見ながら従業員達はため息を吐く。

店内に入ると、カレンが落ちて割れた小瓶や小物を片付けていた。今までの店内とは違い、開放的な空間に変わっていた。天井には青空が再現されている。香りも花の香りではなく、清々しい森の澄んだ空気と香り。中央には大きな精霊の宿る木が存在している。壁面は木々が絡まる生きた壁。店主の命令で蠢くだけではなく、こちらの必要な商品の場所まで案内してくれている。店内にいるだけで回復し癒されるようだ。隅には、小振りなテーブルとベンチがあり休むことも出来る。

「驚くだろう?? 前とは違う店内だが空気が懐かしく香りも違う。私もいつも怠かった身体が軽くなった。中央の精霊の木のおかげだろうな。 」

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