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第2話 再会

人を通すには散らかったリビングはさすがに恥ずかしいので、とりあえず和室に上がってもらった。

子供達は、頭が痛いと言ってそれぞれの自室へ上がって行った。

緑茶も切らしてるし、2人に麦茶を出した。暑いし、いいよね。

「ありがとうございます。暑かったので嬉しいです。香ばしくて美味しいですね。」

黒髪の男性が、にっこり笑う。切れ長の眼がとても優しい印象になる。褐色美人もペコリとお辞儀した。

「あのー…。せかしてしまい申し訳ないのですが、知っている事を話してください。」

緊張しながら切り出した。


この人達穏やかで嫌な感じはしないが、おそらく人ではない。

私の体に、いつもと違う違和感がある。

体を自由に動かせないのだ。

上から押さえつけられ圧迫されているようで上手く動けない。

近い感覚で言えば金縛りに近い感覚だろうと思う。

「おやおや。私とした事が…。気付くのが遅れて申し訳ありません。これで楽になるかと…。辛くないと思いますがどうですか?」

隣の旦那も同じように感じていたみたいで、ホッとした顔をしていた。

「まずは、自己紹介させていただきますね。私は、テン。こちらはレツと申します。

ここは、お気付きかもしれませんがあなた方の住んでいる地ではありません。

私達は『フォレスト』と呼んでいる惑星です。

ちなみにレツは、この星の創造神。私は、あなた方が住んでいる地球の創造神をしています。」


二人ともポカンとしてしまった。

「どういう事ですか?」

苦笑いしながら、テンさんが話をしだした。

「長くなりますが、聞いて頂けますか?

この出来事の発端は、こちらのレツの暴走が原因なのです。

今年の5月に話はさかのぼるのですが…。」


テンさんの話によると、レツさん夫婦が今年の5月に地球に観光に来ていたのだがレツさんは身重だった為、人の姿を保って過ごす事は体に負担がかかるので夫婦は燕の姿で過ごすことにしたそうだ。

もともと、郷に入っては郷に従う精神の夫婦。

とても満喫していたようで、地球の神のおすすめの民家の玄関に家(巣)を作り、子供も産まれ幸せに過ごしていたのだが、2人がいない間に、カラスに家を壊されて、子供も家から転落して亡くなった。

パニックになったレツさんは、テンさんのところへ行き何とか助けて貰おうとしていたみたいだ。


その間に民家の人間が、玄関にいる子供を見つけて手厚く埋葬していた。

この人間が私、『佐東 時雨 (さとう しぐれ)』だった。


不幸中の幸いで、埋葬により遺体損傷なく魂も欠けていなかった為、テンさんの蘇生回復を受けて子供は無事蘇生したようだ。

『ここからが大変だった。』とテンさんが苦笑い。

レツさんの人間への感謝や地球への怒り、子供が無事蘇生された安堵感、産後の精神的不安定等々、さまざまな感情がみごとに暴走してしまった。

地球への怒り等々は、テンさんがフラフラになりながら解決させたみたいだけど、『人間への感謝』をそのまま放置してたらしい。

「これが、今回の出来事に繋がってしまいました。

申し訳ありません。

分かりやすく言うと、想い出と感謝の土地、地球の一部を『フォレスト』へお持ち帰りしてしまったのです。佐東家まるごと神隠しという訳です。」

うつむいていたレツさんが涙で潤んだ顔をあげ、小さい声で話しだした。

「ごめんなさい。いろんなことがありすぎてぐちゃぐちゃな気持ちになってしまいました。いつものように力もだせなくて、暴走してこんな事に…。ごめんなさい。」

ぼろぼろと涙を流すレツさんがいっぱいいっぱいになっていたので背中をさすりながら、

「大丈夫ですよ。お子さんが無事で良かったですね。まずは、ゆっくり体を休めてください。元気がでたら話しましょうね?」

コクコクと頷きながらレツさんは帰って行った。丁度、レツさんの旦那さんが迎えに来ていたのでそのまま帰ってもらった。


「それで、地球にはいつ戻れますか?」

私が聞くと、一言。

「申し訳ありませんが、帰せないんですよ。レツさんの暴走で時空が不安定で無理やり戻そうとすると2つの星が崩壊しかねない。私達創造神や他の神は時空に影響せず問題ないのですが…。」


「えぇぇぇっっ…。ホントに…?」

旦那も、

「何とかならないんですか?」

と食い下がってみたが。

「物理的に無理ですね。」

と、テンさん苦笑い。

「悪い事ばかりではありませんので。お2人に会わせたい方がいるんですよ。おいで!!」

柔らかな小さい影が2つ現れた。

そこには、二足歩行の猫が2人現れた。


「お久しぶりです。」

尻尾の短い猫がにっこり笑顔で歩いてきた。

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