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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者と魔法使いがBLしてるようにみえる件(短編)

作者: ほろ苦

ご興味をもっていただきありがとうございます(*´ー`*)


◼️聖騎士エリアナ 金色に輝く長い髪をひとつに束ね、整った顔に凛々しさを感じるワインレッドの瞳 騎士団長を父親にもち、騎士エリートとして育つ

私は聖騎士エリアナ

勇者エデンと魔法使いアルフォートと一緒に旅をはじめて3年が経ちます。


最近、エデンの様子がおかしい。

気が付くといつもアルフォートを見つめている。

もともとスキンシップの多い人懐っこいタイプのエデンだったが、アルフォートに対して増えているような気がする。

ま、まさか……これがあの噂のBL!

異世界から転移されてきた聖なる巫女が鼻息を荒らくして熱く語っていた事を思い出した。


「エリアナさん!ボーイズラブとは正義であり、神です!私に紙とペンを!」


すらすらと描き造り上げた世界に私の目が点になる。

エデンとアルフォートが美化され花園の世界に……

彼らがそういう関係でないと頭ではわかっているが、

創造の自由とロマン?に聖なる巫女は興奮していた。

理解に苦しむ。


エデンは東の小さな村の青年だったが、神の導きで勇者となった。

クリーム色で少し癖がある髪に深い藍色の瞳が印象的で正義感が強い青年だ。

彼は努力家でもあるので、戦闘力は着々と上がっている。


アルフォートは大魔法使いの末裔にあたり、生まれ持った天才的な才能と膨大な魔力。そのせいもあって、物静かで真っ黒な長い髪をひとつに束ねて浮いた空色の切れ長な瞳が何処かクールな印象だ。


そんなふたりと旅をしている私は王国騎士団の騎士団長の娘であり、国から彼らの支援&世話役&監視役として配属された聖騎士団所属の女騎士だ。


「アルフォート、一緒に水浴びに行こうよ」


エデンがアルフォートに抱きつき顔を覗き込むとアルフォートは怪訝な表情をしていた


「俺はいい、お前一人で行け」

「そんな寂しいこと言うなよー。あ、エリアナ、行ってくるから火の番人よろしく!」

「わかった」


今日も野宿なのでふたりを見おくると、私は焚き火を準備して簡単なテントをふたつ建てた。

一緒に旅に出た当初、寝食は一緒でいいと私は提案したが、ふたりに女性だからと別テントを用意された。

今思えばそうして良かったと思う。

しばらくして帰ってきたふたりの呼吸は荒く頬を紅くしている。

冷たい河の水浴びで何をしてきたのだろう?

私はまた聖なる巫女の創造の世界が頭に浮かぶ。

いかんいかん……

首をプルプルと振って夕食の準備をはじめた。


「エリアナ、今日は何にする?」


私が準備している食材をアルフォートが覗き込む。


「今日、アルフォートが仕留めてくれたヌックの肉を焼こうかと思って。」


ヌックはとても足が早く捕まえにくい中型の獣で、街では高級食材だ。

私とエデンの好物でもある。

その獲物をアルフォートは魔法で難なく仕留めてくれるから、とてもありがたい。


「俺が焼くよ。貸して」


肉をさした串を私の手からそっと奪うとアルフォートが焚き火で肉を焼きだした。

脂がじんわりと出て火がつきやすいがとても良い匂いがする。


「あー良い匂い。アルフォート、焼けたらちょうだい」

「わかっている。エデンはしっかり焼いたのが良いのだろう」


エデンの好みの焼き加減を把握しているアルフォート。

は!まさか、エデンの為に焼くのをかわったのか……

またしても聖なる巫女が描いたふたりがわたしの頭の中に浮かび上がる。


『エデンの為にこの肉を準備したのさ』

『アルフォート、俺のために?俺は何をお返ししたらいいんだ……』

『なにも要らないよ。エデンが側にいるなら』

『アルフォートー』


……は!

しまった、今度は言葉まで浮かんで来てしまった。

私は頭を抱えていると口にムギュっと一口サイズの肉がはいってくる。

アルフォートは焼いた肉をわざわざ切り分けてくれて、私好みのレア肉を口に入れてきたのだ。

残りの半分はエデン好みにしっかり焼き中。

モグモグと食べるとなんとも言えない肉特有のジューシーな甘味が口のなかに広がり幸せになる。


「美味しそうに食べるな」


あまり笑わないアルフォートだが、瞳が少し笑っているように思えた。


「ずるい!俺にも!エリアナ、食べさせて。あーん」


口をあけて私に催促するエデンにむかって、アルフォートは呆れたようにつぶやいた


「エデンはしっかり焼きが良いんだろ?もう少し我慢しろ」

「ちえ、早く一緒に食べたいな」


スネたエデンは口を尖らせてアルフォートを見上げている。

まだ18才のエデンは可愛い弟のように思え、

毎日私が剣術の訓練をして、身体に筋肉はそこそこついてきている。

センスもいいし、私を追い抜く日はそう遠くないだろう。

着崩したシャツの隙間から見てる首筋と胸板に筋肉が付いているなとまじまじ観察して思っていたらアルフォートがエデンのシャツの襟を正した。


「風邪引くぞ」

「あ、うん」


またしても聖なる巫女の甘いふたりの絡みのシーンが頭の中に呼び起きる。


シャツのボタンをひとつひとつ外しながら

『エデンの身体を見て良いのはわたしだけだ』

『アルフォート、そんな恥ずかしい』

そして、アルフォートはエデンを押し倒し…


うわー!!

私は一歩後ずさってしまった。

不思議に思ったアルフォートは首をかしげエデンの肉を切り分けて渡していた。


私はご飯を食べてテントに戻ると深く反省した。

聖なる巫女が描いた図は空想である。

エデンとアルフォートをそんな目で見るのは間違っている。

そんな、あのふたりがそんな関係の訳ない!


「エデン、こら、脱ぐな」

「えーいいだろーほら、アルフォートも」

「こら、止めろ」


となりのテントの声が聞こえてくると、私はピシリと固まった。


またしても私の頭のなかで、聖なる巫女の描いた絵が動き出す。

お互い裸になり、添い寝して、そしてアルフォートの手はエデンのピーーーーー

ボンっと顔が赤くなり私は慌てて耳を塞いだ。

これ以上聞いていたら、大変な状態に?!

私は心臓がバクバクして悶えていた。


流石にこのままではいけないと思い、冷静になることにした。

しかし、私の思いに反して洞窟に入った時、それは起こった。

魔獣がエデンの首に浅くではあったが傷を着けたのだ。

その傷から魔族毒が入りエデンは苦しみもがき出す。


「あつ…い、身体がぁあつい…」


もがき苦しむエデンに私は急いで毒消の瓶を飲ませようとするが、暴れて瓶を叩き落とした。

何とか早く薬を飲ませなければ、魔族化が始まってしまう。

焦って予備の薬を取り出し再び飲ませようとすると、アルフォートが私の手を掴み解毒薬を自分の口にふくんだ。

私が唖然としているとアルフォートは暴れるエデンを取り押さえて、躊躇いもなくその唇を重ねる。


「んーーんーーーー!!!!」


アルフォートは片手でエデンの顎を押さえエデンに口移しで薬を流し込んでいた。

もがくエデンだったが、次第に大人しくなっていく。

一時して、アルフォートがエデンの唇から離れたとき、その口から雫が落ちアルフォートはそれを自分の手の甲で拭いた。

息をあらくし頬が紅く染まっているアルフォートは色っぽく、さっきの口付けの光景が浮かび私の脳内はまた聖なる巫女の花園の世界がぐるぐると回っている。

薬を飲まされ眠っているエデンの表情も安らかといった安堵の表情だった。


「エリアナ?」

「……」

「エリアナ、大丈夫か?」

「は、はい!!!」

「一旦、近くの街に戻ろう。エデンはわたしが運ぶから荷物を持ってくれ」

「わ、わかりました」


ここから一番近い街は聖なる巫女が暮らすレニア街だ。

エデンを背負ったアルフォートを眺めている間も


『わたしのエデンは誰にも渡さない』

『アルフォート…僕は君だけのモノだよ』


なんてフレーズがどこからか沸いてくる。

私の脳は呪いをかけられたのかもしれない。

街に戻ったら、聖なる巫女に呪いの解き方を教えてもらおう。


街に付くとエデンを宿に預けアルフォートに看病を頼んで、私は急いで聖なる巫女の所に向かった。


「聖なる巫女様!!!!助けて下さい」


私は涙目で聖なる巫女に泣きついた。

聖なる巫女は突然の私の訪問に黒い瞳が少し驚いた様子だった。


「エリアナさん!どうしましたか?」

「エデンとアルフォートが変な風に見えるのです」

「まあ!」


聖なる巫女は目を輝かせていた。


「どんな風に!」

「聖なる巫女様が描いた~っ、ごにょごにょ…」

「素敵です!とうとう開眼したのですね」

「なんですか!?開眼って!!」

「攻めと受けが存在する世界。それが勇者と魔法使い様だなんて。無垢な勇者にCOOLな魔法使いで繰り広げられる悲恋の物語。素敵だわ」

「……そうですか?」

「そうよ!ちなみに私は勇者さまが攻めで魔法使いさまが受けよ!エリアナさまは?」

「は?」

「どっちが受け?」

「受け?」


私がキョトンとしていると、聖なる巫女がまた紙にペンでサラサラと書き出し、男同士が絡み合う絵が描かれた。


「入れる方が攻めで受け止める方が受けよ!」


ボンっと私の顔が赤くなりその絵から目をそらす。

確実にモデルはエデンとアルフォートだ。

私はえっとえっと……

頭の中に浮かび上がったふたりのセリフを思い出す。


「あ……アルフォートが攻めです!!」

「誰が攻めだ」


私たちの背後から不機嫌な声がピシャリと響いた。

私と聖なる巫女がビクリと驚き恐る恐る振り返ると、顔をひきつらせたアルフォートが立っている。


「えーっと……」


聖なる巫女が持っていた紙を自分の後ろにそろーと隠そうとするとアルフォートはそれを華麗に奪いとり、まじまじと見て少し震えていた。


「ナンデスカ、コレハ。聖なる巫女」

「えーと……あ!私、祈りの時間なので失礼しますね!」


聖なる巫女は物凄いスピードで逃げるように屋敷に戻って行った。

残された私とアルフォートの沈黙が続く。


「……こんな風にわたしたちを見ていたのですか?」


逃げていった聖なる巫女を眺めているアルフォートの声は確実に怒っている。

私はふるふると首を振った。


「こ、これは、その、巫女様のもとの世界の文化でして、そういう発想もあるという一例といいますかー」

「で、わたしは攻めと?」


ヒーーー

私は青ざめた。

私に視線を移し見下ろす空色の切れ長の瞳に睨まれて、私は小さくなった。


「あながち間違ってはいませんが、相手を間違えてます」

「え?相手?」


アルフォートは怯える私に近付くと、不意に顎を持ち上げ軽く唇を重ねてきたのだ。

私は何が起きたのかわからず固まっていると、アルフォートは唇を離して小さく微笑んだ。


「エデンとの口付けはこれで帳消しにさせてもらいます。」


その言葉を聞いた瞬間、私は自分がアルフォートからキスをされたことを理解して顔がどんどん熱くなる。


「な!!!!」


私はあわててアルフォートと距離をとった。


「この際、気が付いて無いようなのでハッキリ伝えておきます。わたしは男同士とか無理だし、わたしの狙いは貴女ですよエリアナ」

「!」

「まぁ…ライバルは多そうですがね。貴女のファーストキスをもらえたので、今回のことは許してあげましょう」


そう告げると持っていたBLの紙を一瞬で魔法を使って塵にした。


「BLというものじゃなく、貴女と恋愛をするつもりです。よろしくエリアナ」


いつも冷静で、あまり笑顔を見せないアルフォートが暖かく情熱的な瞳で私を見つめ、微笑んでいる。

再び私に近づき、軽く私の左頬を撫でると不思議そうな表情を浮かべた


「……抵抗しないということは、わたしを受け入れて頂けるという事でしょうか」

「あ、あの……嫌ではないので……」

「っ…貴女って人は」


アルフォートは少し顔を赤くして困ったように微笑むとそっと包み込むように私を抱き締めた。

これまで恋愛対象としてアルフォートの事を考えたことがなかったが、考えてみると胸が締め付けられるようにドキドキして抱き締められている事が心地よくも思う。

これが……まさかあの恋というものなのか!?

そう、私は騎士団長の父から物理的精神的に鍛えられていたので、これまでまともに恋というものをしたことがなかった。

そうか……私はアルフォートのことが……好き?


「ちょっと待ったぁ!」


部屋の入り口に、さっき薬を飲まされ眠っていたエデンが入り口の柱を支えに立っていた。

顔色は…物凄く悪い気がする。


「アルフォート…、約束が違うじゃないか!」


約束?

は!ま、まさか。

エデンはアルフォートに想いを寄せていて、そのアルフォートは私に…

三角関係!?

私はエデンの恋敵になってしまうのか!


『オレの気持ちを弄んで、アルフォートひどい』

『エデン、そんなにわたしの事を……わたしはどうしたらいいんだ』


脳内BLが再起動して、またしてもセリフが降ってくる……


「……エリアナ、また変なこと考えていませんよね?」

「!!」


耳元で聞こえたアルフォートの声に私は我に返った。


「エリアナを口説く抜け駆けはしない約束だろ!」


ん?

エデンの言葉に私は耳を疑った。

エデンはみるみると顔を赤くして私とアルフォートの間に割って入ってきた。

そして、キョトンとしている私の瞳をまっすぐに見つめる。


「俺はずっとエリアナの事が好きだった!勇者と持ち上げられて、周りが態度を変えていくなかでエリアナだけはかわらず俺と普通に接してくれた。」


……エデン

真剣な真っ直ぐな眼差しに胸がキュンとなる。

弟みたいに思っていたエデンの告白に身体が熱くなる。

だけど……何かが引っ掛かる。

なんだろう?

何か私の望み通りになってない気がする。

それを考えていると、私の脳内に聖なる巫女さまの声が降ってきた。


『BLとは正義』


勇者エデンと魔法使いアルフォートに告白されて、有頂天になるはずの私の脳内は二人きりの絡みを求めてしまっている。

私は目に涙を溜めてワラワラとなり、自分が不純な思考なのだと認めるしかなかった…


「エリアナ?」

「大丈夫ですか?」


エデンとアルフォートが心配そうに私を見つめているが、私は


「ごめんなさい!!!!」


と、泣きながらその場を走って逃げるしかなかった。

そんな私を二人は呆然と眺めていた。


ああ、BLおそるべし!


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

こちら短編となっておりますが、実はもう長編を作成中。

相変わらずの下手くそな文章に暴走ぎみの内容が…苦笑

完結できましたらアップします!

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