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幼馴染の歪な恋愛三角関係

作者: 吉田歩叶

突然だが恋愛とは難しいものだ。

「恋」と「愛」の違いとはなんなのか。

ある辞書には「恋」は「人を好きになって、会いたい、そばにいたいと思う、満たされない気持ち」、「愛」は「相手を大切に思い、つくそうとする気持ち」という風に書かれている。恋が叶うと愛になるということなのだろうか?うむ。よくわからない。


まぁ、よくよく考えてみれば告白をする時に『○○君のことを恋しています』なんて言わないだろう。むしろ『○○君のことを愛しています』と言うのが普通なのだろう。

『恋』という現象を満たすため告白を決めた時、『恋』というものが『愛』に変わる。お互いの気持ちが通じ合って初めて『恋愛』というものになるとことなのだろう。うーむ、実に難しい。




「明凛、外を見つめてどうしたんだ??」


私ー姫乃明凛(ヒメノアカリ)ーに声をかけてきたのは、2人いる幼馴染のうちの1人の漆原陽和(ウルシバラヒヨリ)だ。私は校舎の3階にある生徒会室の開けた窓から空を眺めているのだ。


「うーん?別になんでもないよ〜。空が綺麗だなぁと思って。」

「悩み事があるならなんでも言えよ。相談くらいならいつでも乗るからな!」

「はーい、ありがとうね」


私は空を見つめたまま適当に返事をする。

漆原陽和ーー高校2年生の17歳。成績は学年で中間くらいで、運動神経が抜群に良い。生徒会副会長をしており、特定の部活には所属していない。肩くらいまでの艶のある黒い髪を、一つに束ねてポニーテールにしている。


陽和は学校指定の制服ー水色の半袖ブラウスに黒スカートーの首筋のところに薄らと汗をかいてる。見た目が良いだけに、同じ女の私ですら扇情的に見えてしまう。


それに対して私は、高校2年生の16歳。成績は常に学年1位だが、運動神経はからっきし。生徒会長という役職を承っており、陽和と同じく特定の部活に所属していない。学校指定の制服ーブラウスは長袖ーの上から紺色のカーディガンを羽織っている。艶があるとは言えない黒髪を2箇所に分けて三つ編みにしている。そして、目が悪いので眼鏡をかけている。


私たちが通う高校の生徒会長は、高校2年生の成績学年1位が担うこととなっているのだ。故に私が担うことになるのだ。で、それ以外の役職は生徒会長権限で決めていいとことだったので、生徒会長副会長に陽和、生徒会長書記に陽和の弟を任命したのだ。


「ねぇ、陽和。暑いならクーラー入れようか?」


私的にはそこまで暑くはないけど、陽和が暑いと思うならクーラーをつけても良いと思っている。夏が過ぎたとはいえまだ暑さが残る9月だ。無理は良くないだろう。


「あー、大丈夫。窓開けてればちょうどいいくらいだから」

「それならいいけど…。」

「それにしても暇ね。何か面白いこととかないのかしら」


9月にもなれば学校行事等はほぼ終わっているものだ。なので生徒会もさほどやることがないのだ。ではなぜ私たちが生徒会室にいるのか。すぐに家に帰っても暇だからだ。買い物に行くのもいいのかもしれないが、ただの高校生の私たちに物を買う余裕などない。進学校ということでバイトも禁止だからね。


「勇者様は今日どこの助っ人にいったの?」

「あいつは今日はバスケ部だったかな。」

「なるほど。陽和と雄助は運動神経抜群だもんね。」

「明凛は運動だめだもんな。」

「うるさいわね!運動なんてできなくてもいいんだからっ。」


陽和がニヤニヤした顔で見てくるので、ジト目を返しておく。勇者様こと漆原雄助(ウルシバラユウスケ)。高校2年生の17歳。陽和の双子の弟である。どこの部活からも助っ人を頼まれていて、雄助が行くとほぼ負けなしだとか。なので、『勇者様』と呼ばれるようになったのだ。姉の陽和は美人で弟の雄助はイケメン。幼馴染の私は鼻が高いし、目の保養である。ありがたし。


「ところでさ、聞きたいことがあったの思い出したんだが、明凛、一昨日バスケ部の先輩に告白されてたろ?」

「な、な、な、なんのことかしら???」


やばい!見られてた!なぜだ!?

動揺を隠しきれていないし、おそらく顔も赤くなっているだろう。カーディガンの袖を口元に持っていて隠すしかないっ。


「いやさ、雄助がたまたま見かけたらしくてさ。教えてくれた。返事はどうしたのさ??」

「そんなのいつも通りよ」

「ほほーん、いつも通りねー。さすがモテ女は違いますな!」

「別にモテてるわけじゃないし…。この話はおしまい!」

「仕方ないなー」


そう、なぜか私はいろんな人から告白されることが多い。先輩後輩老若男女問わずいろんな人からだ。告白されるたびに『今は恋愛をする気はないので』と断っている。だから冒頭のように『恋愛』について考えることがあるのだ。


「はぁー、こんな地味な私のどこがいいのかしらね?」ボソッ

ついつい気になって小声で呟いてしまった。


「私からしたら明凛はすごい可愛いと思うよ。さっきのカーディガンで顔を隠そうとする仕草とか可愛すぎる」

「なんで平然とそんなこと言えるのよ!やめてよっ!」

「いや、聞いてきたのはそっちじゃん!全く!……私の彼女になる?」

「っへ?」


キーンコーンカーコーン

『下校の時間になりました。校内に残っている生徒は速やかに帰宅してください。』


空がオレンジ色に染まり始め、下校時刻を知らせる鐘が鳴りるとともに放送が流れる。


「っ!あー、えーと、よし、帰るか。雄助から昇降口で待ってるって連絡あったからさ!早めに行こうぜ」

「り、り、ひょ!ほ、本当あんたら双子は仲が良いよね!」

「う、生まれた時からずっと一緒にいるからな!」


私たちはお互いに顔を赤くしながら帰る準備をする。

なにを言ってるのだ陽和は。私も動揺して『ひょ』とか言っちゃってるし。わんちゃん彼女ありか?


部活動に所属してる生徒が下校するために昇降口へと駆ける。私たちもその波に乗じるかのように昇降口に向かう。


「明凛、さっきのことは忘れて…。」

「えっ、あっ、うん。」


気まずすぎる。忘れてって言われたら忘れるしかない。忘れられるかわからないけどね。


昇降口に着くとすぐに雄助は見つかった。身長が182cmあるからすごい目立つのだ。陽和も165cmと女子の中では高めで、私だけ154cmと高くもなく低くもなくといった感じだ。この2人と帰ってると気持ち的には居心地が良いが、外見的には居心地が悪い。神はなんとも理不尽だ。


「お待たせ雄助。待たせた?」

「いんや、全然。」


なにそのデートの待ち合わせみたいなやり取りわ。あんたら双子の姉弟だよね?と口に出さないけど思ってしまう。そして、いつ見ても二人揃うと絵になるわ。幼馴染である私の鼻が高い。


「てか、姉貴は明凛とずっと一緒にいたの?」

「そうよ。ずっと一緒にいた!羨ましいか」ムギュ

「きゃっ!ちょっと!」


陽和が後ろから抱きついてきて、ニヤニヤした顔を雄助に向ける。雄助はそれを羨ましそうにしつつもジト目で見ている。『ちょっと!』とか嫌そうな感じを出してはいるが内心は『ご褒美だ』とか考えてる自分が気持ち悪い。けど、幼馴染特権だよねこれ!けど、さっきのことを考えると恥ずかしい。


「べ、別に羨ましいなんて思ってないぞ!!」

「男のツンほど気持ち悪いのはないな…」

「ツンデレじゃねーし!てか帰るぞ!」


いや、誰もツンデレとは言ってないぞーと思いつつも下駄箱へと向かう。仕方ないなー。


「雄助はツンデレじゃないよねー!デレデレだよねー!」

「誰がいつどこでデレデレしてんだ、ゴラァ」


雄助が額に青筋を浮かべ、右手をグーの形にして凄んでくる。


「あっれー?違ったっけー?ごめんごめん!……ってやめて!!」


ビヨーン

殴られると思ったら違った!ほっぺを引っ張られてる!こらっ!


「ほへんっへ!はなひへほー!」

「嫌だね。もう少し反省しなっ。」


ひどい!悪魔だっ!ただの冗談を言っただけなのに!

子供の頃の可愛い雄助はどこに行ったんだ!


「ほーら、イチャイチャしてないで早く行くよ!」

「ちぇっ、明凛行くぞ」

「はーい…」ヒリヒリ


陽和が声をかけてくれたおかげてやっと解放された。

引っ張られたほっぺたがヒリヒリする。いつか、必ず、報復すべし。


太陽が隠れ始めて空がオレンジ色になり始めた街を歩く。私たちは今日も元気に暮らしています。そして、私はこの二人に『恋』しています。陽和と雄助はこんな私に『恋』してくれてるかな?



この『恋』がいつか『愛』に変わることがあるのかな?

そんな日がいつか来ると嬉しいな……なーんてね。



とりあえず短編です。

続きの要望があれば書きます。萌え付きなければ。


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